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「Aの左」に位置するキーに文化を見る キーボード配列とコンピュータの歴史(1/5 ページ)

» 2019年12月17日 14時26分 公開
[大原雄介ITmedia]

 この記事は松尾公也さんの「HHKBのControlキーはなぜAの左なんだぜ」のフォローアップ記事である、というか、フォローアップしてくれと松尾さんに頼まれて書いたら斜め上に行ってしまった記事である。ちなみに筆者はあまりキーボードに造詣が深くないので、間違った記載などあったらTwitterなどでご指摘いただければ幸いだ。

まず事実確認を

 さて本題、「Aの左にControlがあるのはなぜなんだぜ?」で松尾さんはIBMの101キーボードとかDECのVT100をその例に挙げているが、実は両方とも間違いである。まずはこのあたりの正誤関係を明らかにしておきたい。

 そもそもSunのType-3キーボードでCtrl(Control)がAの横にあるのは、ある意味先祖返りである。Type-2もかなり近い(なにせこの世代はCapsLockがない)が、その前のType-1は後述するVT100にキーボード配置が合わせられていて、Aの横はCapsLockである。ではオリジナルは、というとSun Microsystems共同創業者の1人であるビル・ジョイ氏(viの開発者で、BSDのまとめ役としても有名)がBerkeley時代に使っていたADM-3Aという端末のキー配置が、まさに「Aの横にControl」であり、恐らくこれが原型と思われる。

 PFUのキーボードコレクションページにSun Type-1〜Type-3のレイアウトが掲載されているので、これをご覧いただくと分かりやすい。もう1つ付け加えておけば、松尾さんの記事ではSun Type-4がダメということになっているが、実はType-4はType-3互換で、互換性が無い「邪悪な」IBM 101互換になるのはType-5以降である。なので正確には「Type-5以降がダメ」である。もっとも、これもちゃんと理由があるのだが。

 そしてVT100に関して言えば、Aキーの左にまずCapsLockがあり、そのまた左にCtrlキーがある。

photo WikipediaのVT100の写真より

 そのため、「キーボードでAキーの列の一番左がControlなのは正しいが、Aのすぐ左隣にあるのはControlではない」。IBM 101Keyもごらんの通りである。

photo 筆者が今まさに101Keyを使っているので、その写真を。そろそろ4年になるので、大分薄汚れ、おまけにShiftの文字が消えかかっているのはご容赦を
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