LOHACO事業の構造転換の具体的な内容は、(1)アスクルが独自に企画・開発した商品をより多く投入して他社との差別化を図ること、(2)まとめ買いする飲料の重さを18キロ以下に抑えた顧客の配送料を無料にし、配送を効率化すること、(3)PayPayモールへの出品をさらに強化すること――など。
アスクルはこれらを推進し、23年5月期までにLOHACO事業を黒字化する計画だ。ヤフーは一連の方針の策定に関与せず、アスクルの経営判断を尊重したという。
吉岡社長は「8月から9月、9月から10月と協議を重ねるなかで(ヤフーに)構造転換の理解を進めてもらった」と繰り返し強調。
「LOHACOは、PayPayモールのかなりいい所(ユーザーの目に止まる位置)に出店できている。大きなバックアップが得られている」とし、「現在は、資本関係の解消は考えていない。ヤフー以外の企業の傘下に入ることも考えていない」と明言した。
吉岡社長はこうした方針転換を、ヤフーとの対立の末に辞任した岩田前社長には伝えていないという。
ただ現在も、8月の株主総会で、岩田前社長とともに辞任を余儀なくされた独立社外取締役の後任は決まっていない。プラス前社長でアスクル社外取締役だった今泉公二氏が、10月に病死する事態にも見舞われた。
吉岡社長は今後の体制について、「今泉さんの件は非常に悲しいことだった」とした上で、「詳細は明かせないが、(独立社外取締役の)候補者の選定は順調に進んでいる」と話すにとどまった。
20年5月期の通期業績予想は、売上高が前年比4.3%増の4040億円、営業利益が94.7%増の88億円、最終利益が約13倍の54億円を見込んでいる。
吉岡社長は「LOHACO事業は今後、選択と集中を進める。本店の投資は抑制し、PayPayモール店の力点を上げる。具体的な施策は話せないが、ヤフーと一緒になって機能改善を進めたい」と展望を語った。
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