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FDM方式の3Dプリンタを1週間使ってみた そして等身大へ3Dプリンタ買っちゃいました(3/3 ページ)

» 2020年08月17日 11時15分 公開
[松尾公也ITmedia]
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さらに大きく

 220×220×250mmの印刷が可能なEnder-3 V2なら、さらに大きなサイズの胸像が作れるはず、とこちらも試した。Ender-3に付属する無料のスライサーソフト「Ultimaker Cura」でも同じ胸像データをインポート。

 まずは高さ30mmの小さいサイズでテストプリントしてみる。なぜ小さいサイズで試すかというと、人体のように複雑な形状の3Dオブジェクトの場合、スライサーソフトによっては部分的にちゃんと出力してくれないものがあるからだ。スライサー側でオブジェクトの不具合を修復してくれる場合もあるが、Ender-3 V2とCuraの組み合わせでは何度か失敗しているので用心しておきたい。

photo ELEGOO MARSではうまくいっている後頭部の処理が、Ender-3 V2では不自然になっている

 テストプリントがうまくいったので、次は本番。Ender-3 V2でプリントできる最大サイズで印刷してみた。これには33時間1分を要した。1日と9時間。それだけ長い間、連続稼働するメカが3万円以下で買えるというのもまた驚嘆だ。

photo Ender-3 V2に可能な最大サイズで印刷

 使ったフィラメントが半透明のものだったこともあり、インフィルと呼ばれる内部構造がしっかり見えてしまっているが、それでも出来栄えは美しい。大きさは2分の1くらいだろうか。このくらいのサイズになるとFDM方式特有の積層痕は誤差の範囲で、触った感じもつるつるしていて違和感はない。むしろ神々しい印象を受けるのだが、この異質とも思える外骨格の胸像を見ると、妻が高校生の頃に読んでいたという、フィリップ・ホセ・ファーマーのSF小説『恋人たち』の感想を語り合ったことを思い出す。

photo これは筆者所有の『恋人たち』文庫本
photo 3つのサイズの胸像を並べてみた
photo 高さは18cmくらいある

 最大サイズ500×500×500mmくらいの3Dプリンタがあれば肩幅くらいまでは印刷可能なので、数回の分割出力で全身像を具現化できるかもしれない。

 コンシューマー機では、Crealityの「CR 10 S5」という809ドルの製品がちょうどそのサイズのプリントができるのだが、残念ながら販売終了となっている。CR 10 S5は2年前の製品で、マザーボードとかディスプレイが古い世代なので、その後継機がそろそろ出てもいい頃。スペックだけならAmazon.co.jpにもそのくらいの価格で出力できる製品があるのだが、評価はいまひとつ。

 この製品レンジには、まだ価格破壊の波が訪れていないようだ。気長に待つとするか。

photo Creality CR 10 S5なら肩幅くらいは入りそう
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