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ライオン、スマート歯ブラシに本格参入 歯磨きのうまさを採点する子供用モデル開発

» 2020年08月25日 20時47分 公開
[樋口隆充ITmedia]

 ライオンは8月25日、Bluetoothでスマートフォンと連携し、子供の歯磨きのうまさをスコア化して専用アプリに表示するスマート歯ブラシ「はみがきのおけいこ」を開発したと発表した。アスクルの通販サイト「LOHACO」(ロハコ)で9月9日に発売する。価格は1万2100円(税込)。

photo ライオンが開発した「はみがきのおけいこ」(ライオン提供)

 はみがきのおけいこは、歯ブラシの専用アタッチメントに内蔵される加速度センサーが、子供の手の位置や角度から磨いた歯の位置を割り出し、歯の磨き具合をスコア化する仕組み。蓄積したデータをもとに、歯磨きの癖を特定することも可能だ。

photo 加速度センサーの仕組み(ライオン提供)

 子供が歯磨きを習慣化しやすいよう、アプリ上で絵本形式の動画を配信したり、正しい磨き方を音声やイラストでレクチャーしたりする機能も持つ。

 「子供が楽しく歯磨きできるだけでなく、自主的な歯磨き習慣を育む製品だ」とライオンのオーラルケア事業部の担当者は説明する。親による“仕上げ磨き”でも使えるという。

photo スマートフォンの画面を見ながら歯磨きを学ぶ子供(ライオン提供)

 ライオンは2017年に、スマホと有線で接続し、歯磨き中に骨伝導で好きな音楽を再生する子供用スマート歯ブラシ「Possi」(ポッシ)をソニーや京セラと共同開発したが、スマート歯ブラシを単独で企画・開発するのは初めて。

 ライオンが今回、スマート歯ブラシ市場に本格参入した背景には、IoT市場の拡大がある。

 昨今のIoTの発展に伴い、歯ブラシもスマート化が進んでおり、競合の蘭Philipsや独Braun、サンスターなどが、スマホと歯ブラシを連携して成人向けのオーラルケアをサポートする製品をライオンに先んじて発表している。

 後発であるライオンは、競合製品が少ないことから子供向けスマート歯ブラシに着目。親世代への市場調査で「子供に歯磨きの習慣が定着しない」との声があったことや、ポッシで培ったマーケティングのノウハウを生かせることから、子供用に特化した製品の開発を決めたという。

 ライオンの社内で「他社の既存製品が、適切な歯磨き習慣の継続につながっているか見えにくい」という意見が出たことも本格参入の背景にあるとしている。

 製品の拡販に向け、アスクルと組んでデータマーケティングにも取り組む。ライオンは現在、ユーザーが歯茎の写真を撮ってアップロードすると、AIが健康状態を判定するサービス「HAGUKI CHECKER」(ハグキチェッカー)を提供している。今後は、ハグキチェッカーのデータとロハコの購買データを連携し、スマート歯ブラシのユーザーがハグキチェッカーを並行して使うと、ロハコから口の状態に応じたオーラルケア製品をレコメンドするサービスも始める。

 将来はこれらの施策に加え、スマート歯ブラシの実店舗での販売や、成人用モデルの開発も視野に入れる。

photo ロハコのマーケティングサービスとのデータ連携で製品開発にも反映する

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