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ユーザーとAdobeが力を合わせて登頂に成功したコードネーム「HOTAKA」と日本語DTP完成への道 InDesign日本語版発売20周年(前編)(6/6 ページ)

» 2021年02月16日 09時05分 公開
[菊池美範ITmedia]
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InDesign日本語版開発秘話

[セッション12]InDesign日本語版開発秘話

[セッション12]InDesign日本語版開発秘話

 開発チームのエピソードとして最後を飾るセッションが、UXおよび戦略リサーチ担当の中村美香氏とAdobe Type開発部のシニアマネージャーのナット・マカリー氏。

 マカリー氏はDTP普及以前の写植指定時代をよく知る方で、「こんな資料をよく持っていたね」という驚きの連続。日本語組版の事情もよく理解されていて、鋭い分析の語り口は日本語組版の研究者の風格で、日本語フォントにおけるドナルド・キーンさんのような存在だ。中村氏は開発当時プロジェクトに没頭するあまり、壮絶な夢をみたというエピソードを語っている。マカリー氏とともに「かけがえのない貴重な経験だった」と語る表情は、当時のチームがいかに熱意の塊であったかを物語っている。

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[セッション13]ありがとう せやけど、ココなんとかなりませんか? InDesignさん……

[セッション13]ありがとう せやけど、ココなんとかなりませんか? InDesignさん……

 ナニワのDTP組版界を代表する、大石十三夫氏による安定の分かりやすい日本語組版基礎講座。セッションの冒頭で紹介したのは「大阪DTPの勉強部屋」を主宰する宮地 知氏。大石氏はInDesignを深く使い込まれているがゆえの課題点・疑問点を、ユーザーメリットのための使いこなしに昇華して発信し続ける貴重な存在だ。

 本来あるべき禁則処理に補正するためのポイントをゆったり分かりやすいペースで解説してくれるので、これを視聴するだけでも格段に美しい日本語組版を手にするチャンスをつかめる。直感的にわかりにくい文字組みアキ量設定の設定ポイントも必見だ。

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[セッション14]フィナーレ(InDesign 20周年イベントを終えて)

[セッション14]フィナーレ(InDesign 20周年イベントを終えて)

 全セッションのフィナーレはモデレーターを担当した森氏、岩本氏をはじめ、セッション4に登壇した紺野氏、スイッチの鷹野雅弘氏、DTPの勉強会(東京)を主宰する尾花暁氏がまとめを語る。

 登壇されたスピーカーの方々と岩本氏もリモートで参加され、20年の節目からInDesignの将来がどうあって欲しいかという意見交換がなされた。この中で鷹野氏が岩本氏に問いかけたリクエストや、尾花氏の「お宝」の今後についても要チェックである。

 7時間余りに及んだこのイベントは、事前視聴登録者が700人を大きく超えるという大成功を収めた。一般的には専門的で難しいと思われているInDesignだが、間口も懐も大きいアプリケーションだということを改めて確認できた。

※配信にご協力いただいたマリモレコーズの戸越スタジオは、アクリルパーティションや常時強制換気などでCOVID-19感染防止対策を施されたスタジオだった。コロナ禍で安全な配信環境を用意していただいたスタッフに感謝を申し上げたい。

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 後編は、Adobe内でInDesignのこれからを見守る岩本崇氏、山本太郎氏のインタビューをお届けする

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