現在現役のカメラメーカーは、フィルム時代からの老舗がほとんどで、カシオが撤退した今、デジタルネイティブなメーカーはもはやパナソニックぐらいになってしまった。ソニーはミノルタから事業譲渡を受けており、デジタルネイティブとはいえない。
それも含めて考えると、パナソニックのカメラ事業は他のメーカーと戦略が違いすぎて、単純に比較することができない。一番フラットな比較が売上やシェアで見ることなのだろうが、その立場から見れば「もう売ってしまえ」ということになるだろう。
今年(2021年)のCP+のオンラインイベントで、パナソニックは動画クリエーター向けサイト「Vook」と組み、「動画」にフォーカスした展示を行った。
元来CP+は動画と相性が悪く、リアル展示では動画関係の機材はいつも別棟へ追いやられるほど冷遇されているわけだが、いくらオンラインとはいえ動画しかやらない展示をブッ込んできたわけだから、いつものリアル展示だったら相当に見ものだっただはずだ。
5月26日には「GH5 II」を発表、さらには年内に「GH6」の発売を発表した。どちらもビデオグラファー向けに「動画機」として投入していく。常識的に考えれば、新製品発表と同時に次期モデルを開発発表したら、買い控えが起こるのではないかと思われるが、LUMIXの健在を示すために発表を急いだとも考えられる。
逆にフルサイズのSシリーズはアナウンスがないが、2018年のDC-S1以降毎年夏には新モデルが出ているので、この夏にも順調にフルサイズ機が登場するなら、ひとまず安心はできるだろう。
パナソニックのデジタルカメラ事業は今後、写真と動画のポジションが入れ替わる勢いで動画性能をより強く打ち出していくだろう。ビデオブログやライブ配信、リモート会議など、動画需要は伸びしろが大きい分野だからだ。
その点ではLUMIXをいつまでも写真機として見ているわれわれの方が、もう頭が古いのかもしれない。
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