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大幅にUIが変わる予定のAdobe Premiere Pro 狙いはどこに?小寺信良のIT大作戦(4/4 ページ)

» 2021年06月28日 12時46分 公開
[小寺信良ITmedia]
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 ただ、ワークスペースを切り替えないということは、編集画面に多くの機能を集約するということの裏返しなので、プルダウンメニューが膨大になる懸念が出てくる。機能をアイコニックに示すのではなく、文字で示すようになると、用語やメニュー位置を丸暗記しなければならないというデメリットにつながりやすい。

 出力のほうは、現UIが出力ファイルフォーマットを自分で設定していく方法だったが、複数のプラットフォームへいっぺんに同じ動画を投げる場合は、それぞれのフォーマットを把握してバッチエンコードさせる必要があった。

photo 現UIの書き出し設定

 一方新UIでは、投稿したい動画プラットフォームを選択するだけで、最適なフォーマットでエンコードし、アップロードまでしてくれるようになった。この機能はすでにDaVinci Resolveでは実装済みだが、例えばYouTubeへの投稿だと、サムネイルの指定まではできなかった。結局はYouTubeのダッシュボード画面に行って細かいことはやる、という作業だったのだ。

photo 新UIの書き出し設定

 だがPremiere Proの新UIは、サムネイルの指定までできるようになっている。YouTubeのサムネイル指定画面は、候補の中から選ぶか、自分でサムネイルを作ってアップロードするしかなかったが、新UIでは編集動画の中からサムネイル画像を指定できるので、だいぶ手間が減ることになる。

 ここまで大きな変化があると、華々しいメジャーアップデートに近いような気がするが、現時点でのバージョンの推移を見ていると、どうもバージョン15のマイナーアップデートの中で盛り込まれそうな気配である。そうなると、解説書籍などは細かいバージョン違いなのに新版を出さなければならず、売りとしては微妙、というデメリットがある。とはいえ、もう今は紙の書籍で勉強する時代でもないのかもしれない。

 いずれにしてもこの新UIは、多くのVloggerや業務で営業動画を作成しなければならない人に対して、Premiere Proが簡単になったという印象を強く与えるだろう。以前もβ版でM1対応の性能をテストしたことがあるが、正規版ではさらに深いレベルまでM1対応が進んでいるはずだ。またそのときには改めてベンチマークなどでテストしてみたい。

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