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スティーブ・ジョブズ没後10年 Appleの隆盛を支えた「ジョブズとクック」が成し遂げたこと(4/4 ページ)

» 2021年09月30日 13時00分 公開
[西田宗千佳ITmedia]
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「いけるジャンルはやめない」のがクック流か

 残るは、「iPhoneという巨大な成功に続くもの」を生み出せるか、ということだろう。VR/AR関連や自動車などいろいろあるが、まだその姿は見えていない。

 一つ感じるのは、クックという人は「行けると思ったらやめない」人なのかな、ということだ。

2019年9月、最後にリアルで撮影した時のティム・クックの姿を。次にリアル取材ができるのが2022年だといいが……

 思えば、iPadとApple Watchには共通の特徴があった。

 初代モデルが発表されると圧倒的に注目され、他社を巻き込んだ大ブームとなるが、一時的に停滞し、ある種の幻滅期が来る。

 だが、Appleは継続的な投資を止めなかった。結果として今、iPadもApple Watchも大きな柱に育った。ライバル製品はあるが、市場シェアでは追いつけていない。製品とプラットフォームを地道に育てた結果、支持が安定したのだ。

 今後なにか新しいものが来るとしたら、それも同じ経過をたどるのではないか、と思う。ブームになり、幻滅される。だが、それを持ちこたえて「続けた」結果としてしか、大きな市場は生まれづらくなっているのではないかとも思うのだ。

 そして、その余力を支えるのは結局iPhoneの収益である。

 ティム・クックという経営者の本質は、「いかに持続的な環境を作るのか」という点なのではないか……というのが筆者の結論だ。そのためのシステムを組み立て、最適化してきたティム・クックという人物は、経営者として、ジョブズとは違う意味で非凡な人物だ。

 そういうパターンを選びづらいという意味でも、他のスマートフォンメーカーは、Appleとは違うビジネスモデルを目指さざるを得ない。

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