しかし、この製品に「17°」という名称を与え、9900円で売るのにふさわしいパッケージを提案し、この機能と使い勝手だけを凝縮したような武骨なルックスに、「これがカッコよい」というお墨付きを与え、細部をリファインして、機能とデザインと魅力を伝える形として仕上げたのは秋田氏のデザイナーとしての力だろう。
何より、余分なことは一切行っていないのがすごい。その結果、「金属製品であることの美しさ」のようなものが、分かりやすく表現されている。ギフトとして使える大根おろしでもあるのだ。
それにしても、この「17°」を見ていると、刃物の応用製品の可能性について、いろいろと考えたくなってしまう。大根をつぶさずに切って削って無駄なツユを出すことなくふんわり感を出す技術で、コーヒーミルを開発して欲しいと思い、取材中にシゲル工業さんにも伝えた。
セラミックの臼のミルも良くできていると思うのだが、最近登場している、セラミック刃で切るタイプのコーヒーミルは、さらに使いやすかった。それなら、それをシゲル工業が手がけたら、どうなるだろうと、コーヒー好きとしては、とても興味をそそられるのだ。
藤田会長は、自らおいしいお茶をいれることが好きだという。その興味がコーヒーに向いたら、また素晴らしい製品が生まれる気がする。期待してしまう。
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