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クルマのUXはキケンな過渡期 最近のクルマはコクピットドリルで説明しきれない問題【新連載】「自動運転未満」なクルマとドライバーの関係(3/3 ページ)

» 2022年02月01日 09時15分 公開
[渡辺泰ITmedia]
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実は車載カーナビの注視も違反

 2020年に「ながらスマホ」の罰則が強化されましたが、実はクルマに装備された車載カーナビの画面を注視することも罰則の対象となります

 スマホライクなタッチ操作やジェスチャー操作を取り入れたインフォテインメント画面は、ボタン位置が手探りで分からずメニュー階層が深いため、いきおい画面注視が必要になってしまいます。停止中に操作すればという声もありますが、車両の設定に関わる操作は走行中に操作する前提のはずです。

理想のHMIを求める過渡期

 本来はSVXが目指したように運転操作以外に気を散らすことのないHMIが理想的ですが、近所の買い物ならいざ知らず、カーナビやADASに加えてパーキングカメラなどの操作や反応が必要となります。その解決策として多画面となりUIが複雑になるのは避けられないところ。

 自動車メーカーもインカーUI/UXの設計に苦労しているであろうことは容易に想像が付きますが、まだ模索中といったところでしょうか。

 運転への注意力を落とさずにさまざまな機能を操作するには、「音声」が理想的であることに疑問の余地はないでしょう。

 ただ、かなり昔から音声コマンドを備えたカーナビは存在しましたが、音声認識の精度の低さもあって快適な操作ができるとはいいがたい状況でした。

 現在では、スマホやスマートスピーカーにSiriやAlexaといった高度な音声テクノジーが搭載され、かなり使える状況になってきていることもあり、各社がそれらの音声テクノロジーを車内にも展開してきてるので、徐々に改善していくと思われますが、まだまだ音声「オンリー」で快適なUXを提供できてるとは言えないようです(いちばん進んでいると言われるメルセデスでも認識率が低くイライラします)。

 かなり古いネタになりますが、「ナイトライダー」に登場するK.I.T.T.のレベルに到達するにはまだまだ時間が掛かりそうですね。

ナイトライダー K.I.T.T.

まだ来ない未来「自動運転」

 また、視覚面では視線移動の少ないHUD(Head Up Display)の採用も増えてきていますが、今後はARの応用も期待されます。

 2022年に登場が噂されているAppleのARグラスですが、これまた噂のApple CarにそのAR機能が採用され革新的なインカーUI/UXを提供されるようなことを想像するとわくわくしてきます。

BMW

 レベル5の完全自動運転が実現すると、ドライバーが居眠りしても、映画を見ても問題ないという未来の光景が各社のイメージビデオで描かれています。現にTeslaのアップデートでセンターディスプレイでゲームが実行できるようになったことが問題となっていましたが、今でもNetflixなどは楽しめる状況です(走行中はNG)。

 しかし、完全自動運転がまだ来ないとすれば、インフォテインメントのエンターテインメント要素は限定せざるを得ません。

 現在のこのような状況は「自動運転」が普及するまでの「過渡期」だと思いますが、その辺りの動向とユーザー視点での課題と対策について、本連載では紹介していきたいと思います。

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