スマホやタブレットをつなぐ場合、「画面のアスペクト比がつなぐ機器と同じ」ということは良し悪しだ。文章だとわかりにくいので、模式図を見ながら考えてみよう。
映画を見るとする。
スマホの画面が16:9であるならいいが、スマホがそれより長い、例えば18:9だった場合には、「16:9の画面に、18:9の画面をあてはめ、さらにその中の16:9の部分に映画が表示される」ことになる。だから、Nreal Air本来の表示領域よりかなり狭目になる。
電子書籍を読む場合、もっとはっきりする。書籍のほとんどは紙のアスペクト比に合わせて作られている。すなわち、3:2から4:3くらいというところだろうか。そうすると、「16:9の画面に、18:9の画面をあてはめ、さらにその中の4:3の部分に映画が表示される」ことになるので、無駄な空白が生まれる。
ここでiPadだとどうなるか? iPadはだいたい4:3の縦横比(正確にはモデルによって少しずつ違うが、シンプルにして示しておく)である。そのため、16:9であるNreal Airの表示領域の左右はデッドスペースになる。だが、電子書籍の左右に無駄な領域は少なくなるので、実表示面積はかなり大きく感じられる。
空間の中に巨大な電子書籍を表示して読む、というのはなかなか快適だ。それを生かすには、紙に近い縦横比の機器の方が有利、ということになる。
さらにiPad、というかiOS/iPadOSの特徴として有利な部分が1つあった。
それは、映像配信アプリなどの場合、「外部ディスプレイにつなぐと、コンテンツだけが表示される」形になっている、ということだ。しかもその場合、ディスプレイ側のアスペクト比ではなく、コンテンツ側のアスペクト比になる。具体的には、Apple TVやNetflix、Amazon Prime VideoにDisney+、U-NEXTなど、主要な動画配信アプリの多くがそうした形になっている。
結果として、Nreal Airの表示領域をいっぱいに使えるので、映画などはより見やすくなるわけだ。
ただ逆に、Nreal Airをつなぐと「外部ディスプレイを使っている」という扱いになり、著作権保護技術が働いて表示できないアプリも出てくる。具体的にはTVerがそうだった。
これらの点は、iPadの特性が偶然Nreal Airに向いていた……ということなのだが、結果としてはなかなか面白い。画面の輝度をいっぱいまで下げて、iPadを実質的にコントローラーとして使う感じがいいだろう。
また、こうした使い方をするときには、iPadの大きさはあまり関係ない。結果として、iPad mini(USB Type-Cに対応している現行モデル)が最も向いている、ということになるだろうか。
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