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Metaだけではない ジャパンディスプレイ、ソニーも追う、新世代HMDの技術トレンドとは何か(3/7 ページ)

» 2022年06月29日 13時33分 公開
[西田宗千佳ITmedia]

マイクロOLEDで変わるHMDの「解像感」

 実のところ、ディスプレイデバイス側が進化すれば、人間の目にはかなり「十分な解像度がある」ように見えてくるものだ。

 例えばNrealのスマートグラス「Nreal Air」は、PPDが49まで上がってきている。デバイスが搭載しているデバイスの解像度は1920×1080ピクセルなのだが、PPDが49あれば、画素が緻密でかなり「しっかり文字が読める」印象を受ける。ただ一方で、視野角が46度と広くない。

photo Nreal Air。NTTドコモとKDDI経由で日本でも販売中。ドコモでの価格は3万9800円
photo Nreal Airで見える映像をスマホで直接撮影してみた。多少色温度が低く、視野角も46度と狭いが、解像感はかなり高い

 Nreal Airでも使われていて、注目のデバイスが「マイクロOLED(有機EL)」だ。これまでは一眼カメラのファインダーなどに使われてきたデバイスだが、小型であり解像度も高いことから、VR用HMDには有望と見られ、中国メーカーから国内メーカーまで、多くの企業が開発を続けている。

 マイクロOLEDを使った機器が増えていくと、小型で解像感の高いHMDが作りやすくなるのは間違いない。Nreal Airのようなデバイスはすでに複数の中国メーカーが開発しており、近いうちに製品ラッシュが日本からも感じられるようになるだろう、と筆者は予測している。

 パナソニック子会社のShiftallが発売を予定している「MeganeX」も、片目2.5K×2.5KのマイクロOLEDを使う。デバイスは米企業Kopinとの共同開発。PPDは未公表だが、筆者が体験した時も、Quest 2などよりはさらに良好な解像感だと感じた。視野角もスペックは未公開ながら、90度前後と見られる。

photo Shiftallが年内に発売予定の「MeganeX」。価格は10万円程度を想定している

 写真は、ソニーが昨年12月の「Technology Day」に公開した、片目4K×4KのマイクロOLED。ソニーグループの吉田憲一郎CEOも筆者との取材の中で「マイクロOLEDはメタバースに有望な技術であり、重視していきたい」と語っている。

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photo ソニーが昨年12月に公開した、HMD向けのマイクロOLED。非常に小さいディスプレイだが、片目で4K×4Kの解像度を持つ

 このデバイスは、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)が近日発売を予定している「PlayStation VR2」に使われるもの「ではない」。だが、すでにHMDは試作済。筆者も取材で体験したが、発色といい解像感といい、かなりのレベルに達していた。

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