で、上記の原則で行くと、最強なのは「センサーサイズが大きい割に画素数が少ないセンサーを使ってるイマドキのカメラ」ってことになる。
そんなのがあるか、というと、あるのだ。
例えばキヤノンの「EOS R6」。これ、フルサイズセンサーなのに画素数は約2000万画素とマイクロフォーサーズ並み。だから、EOS R6はかなり高感度に強いはずだ。
そこで撮ってみたのがこちら。
2020年の夏、蝉が羽化する瞬間をISO40000で撮ったものだ。
これ、レンズはF1.8なのだけど、非常に近距離での撮影なのでピントが浅すぎないように、さらにこのレンズはF2.8まで絞ると背景のボケがきれいな丸になる(絞り開放だとレモン型になる)という理由で、ちょっとだけ絞ってその分ISO感度を上げてるのだ。
ISO40000でこのクオリティーやばい。
ディテールをあまり殺さずにノイズをほどよく消してて(よーくみると、ノイズを消す過程で部分的にやりすぎてるとこあるけど拡大してガン見しない限り気にならない)、おかげで暗い公園で蝉の羽化、なんてシーンも手持ちで撮れるのだ。
ちなみに、フルサイズを100%とすると、APS-Cサイズはその半分弱、マイクロフォーサーズはその半分強の面積。超大ざっぱにいうと、フルサイズの半分の面積がAPS-Cでその半分の面積がマイクロフォーサーズと思っていい。
正確にはこの表の通り(35mmフルサイズとAPS-Cサイズはα7シリーズのデータを使ってる)。
これだけ面積に差があるとマイクロフォーサーズは不利だよね、と思っていたのだけど、今回のOMDSの「OM-1」でセンサーの世代が最新のものになり、高感度に強くなった。
こちらはISO25600で撮ったうちの黒猫。右がRAWデータ(細かいノイズがかなりある)、左がJPEG画像(ノイズがきれいに消えてるけどディテールは少ししかつぶれてない)
高感度で撮れる、となると手持ちで撮影可能なシーンがぐっと広がる。例えば夜景。
夜景を撮るときって、ぐっと絞り込んで点光源から出る光条も一緒に撮りたい。でも暗い上に絞り込むとシャッタースピードをぐぐっと落とすかISO感度を上げるしかない。
でも光跡は不要、などそこまでシャッタースピードを落とさなくていいケースなら感度を上げて手持ちで撮れちゃうのだ。
こちらはパナソニックの「DC-S5」で2400万画素フルサイズセンサー搭載。このセンサーは「デュアルネイティブISOテクノロジー」を採用。画素ごとに低ISO感度用と高ISO感度用の2つの回路を持っており、ISO感度が上がると「低ノイズ高ISO回路」に切り替わることで高感度時の画質を上げるという技を使ってる。
技術の進化ってヤバい。
なんか、昔のクセでISO1600より上には上げたくないなあ、ISOオートだと感度が上がりすぎて画質が落ちたらやだなあと思ってギリギリを狙ったりしがちだったのだけど、気がついたら超高感度でも平気な時代になってたのだ。
どのくらいの高感度までよしとするかは機種によっても違うし、被写体やその写真をどう使うかによっても違うけど、でも、最新のカメラを使うときは平気でISO感度を上げるようになってきた。ISOオートだと上限を設定できる機種が多いけど、デフォルトより上げてる。
隔世の感があるよなあと思う次第なので、みなさまも自分のカメラの性能と相談しつつ、超高感度撮影を楽しんでくださいまし。
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