クラウド事業者が公開しているクラウドインフラの活用事例から、事業や業務効率化の参考になるものをピックアップ。IaaS・PaaSが実現するビジネスの可能性をコンパクトにお届けする。
パズルゲーム「パズドラ」などの開発・提供で知られるガンホー・オンライン・エンターテイメント(ガンホー)。2020年にリリースした対戦アクションゲーム「ニンジャラ」では、AWSのゲーム開発向けサービス「Amazon GameLift」を採用した。快適なマッチングシステムが求められる中、フルマネージドサービスを活用し、遊びやすさを保ちつつサーバの運用負荷を削減したという。AWSジャパンが10月25日までに発表した。
ニンジャラはNintendo Switch向けに基本無料で配信しているゲームだ。累計ダウンロード数は21年10月までで800万以上という。最大8人でのバトルロイヤルなど、対戦要素を特徴としている。
ガンホーではパズドラの開発当初からAWSを活用しており、ノウハウを積み重ねていたが、ニンジャラの開発に当たってはサーバのさらなる高度化が必要だったという。中でも調整が必要になったのはオンラインマルチプレイ時のマッチングシステムだ。
ニンジャラは短時間で対戦を終え、すぐに再マッチングするという流れを繰り返す仕組みを採用している。ゲーム自体が爽快さを重視していたので、プレイヤーの満足度を高めるにはマッチングの快適さが欠かせなかったという。当時、同様の仕組みを採用するFPSゲームが流行っていたことも拍車を掛けた。
そこでガンホーはAmazon GameLiftの採用を決定。Amazon GameLiftはマルチプレイヤー用のゲームサーバを提供するフルマネージドサービスで、マッチング機能も備えている。ニンジャラの開発に活用していたゲームエンジン「Unreal Engine」向けのSDK(ソフトウェア開発キット)を備えており、通信部分の設計に必要な工数を削減できると踏んで導入したという。
ただ、当時のAmazon GameLiftはAWSの他サービスと比べると比較的新しく、活用に当たってはAWSジャパンなどとの連携が必要だった。そこでガンホーは企業向けの技術サポートサービス「AWS エンタープライズサポート」などを活用し、Amazon GameLiftの開発チームとコミュニケーションしながらニンジャラの開発を進めた。
その結果、ニンジャラは配信開始から16時間で累計100万回ダウンロードされるなどプレイヤーを集めたものの、レイテンシなどの問題は出さずに乗り切れたという。その後の運用についても「サーバの運用コストについては(自分たちでやる場合と比べて)毎月4人月削減でき、ユーザーにより優れたゲーム体験を提供することに注力できるようになった」としている。
ニンジャラでの成果を受け、ガンホーは他にゲームにもAmazon GameLiftを活用する方針。22年5月にリリースした対戦ゲーム「DEATHVERSE: LET IT DIE」の開発でも採用したという。
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