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クラウド活用を妨げるのは“変化を嫌う文化”? SaaS導入が進まない中小の実態 事例を分析(1/3 ページ)

» 2022年11月01日 11時00分 公開
[伊藤利樹ITmedia]

 クラウド活用が進まない中小企業は、どんな課題を抱えているのか。前編では、実際に中小の情シスで管理職を務める友人の話を通して、「情シスの社内カーストの低さ」によりクラウド推進が進まない事例を分析した。

 後編では、クラウド活用が進まないもう一つの原因として挙げた「変化を嫌う文化」について考えてみる。IaaS・PaaSだけでなく、比較的特別なスキルが必要ではないSaaSの活用までもが進まない理由も見えてきた。

 前編:クラウド活用が進まない中小の実態、原因は“社内カースト”に? 事例を分析

そもそもITリテラシーに不安 「変化を嫌う文化」の背景

 「変化を嫌う文化」の下敷きには、社内のITリテラシーの低さがあると友人は話す。例えばコロナ禍に際するテレワーク環境の整備には苦労したという。

 友人は当時、会社PCを自宅などから接続させるために、会社PCのネットワーク経路を変更する必要があった。「会社のプロキシサーバ→社内LAN」から「インターネットVPN→会社のゲートウェイサーバ→社内LAN」への切り替えが必要だったという。

 そこで経路設定やVPN接続を設定するスクリプトを作成し、バッチファイル化して各社員に配布した。社員はバッチファイルを実行するだけで、自宅から社内LANに接続できる仕掛けを作ったそうだ。

 そして集団説明会を開き、マニュアルを配布し作業手順を説明した。会社PCを立ち上げて家庭のインターネット環境に接続し、バッチファイルをダブルクリックするだけなので、難しいところは何もない。マニュアルを作成して、メールで周知でもよいレベルにさえに感じる。

 しかし、いざテレワークを開始すると家から会社PCが使えないと問合せが相次ぎ、電話での個別説明に追われる日が続いたという。家庭のインターネット環境に接続し、バッチファイルをダブルクリックさせるだけにもかかわらずだ。なるほど、確かにITリテラシーはかなり低そうだ。

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