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Slack vs. Chatwork ビジネスチャットの思想の違いを探るビジネスチャット対決(6/6 ページ)

» 2023年02月28日 08時00分 公開
[武内俊介ITmedia]
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ビジネスコミュニケーションは電話からチャットへ

 電子メールが登場してから約半世紀が経ち、ビジネスコミュニケーションの中心は徐々にチャットに移行している。タイトルの書き方やCC、BCCの使い方といった昔は当たり前だったビジネスマナーを知らない若者も増えてきた。

 スマホが登場し、書類や手続きなどもデジタル化していくことで、ビジネスが進むスピードがどんどん上がってきている。IT企業では各デスクに電話を置かない企業も増えており、在宅勤務の増加もチャットの普及を更に進めそうだ。

 Slackは使いこなせば本当に便利なツールだが、チャンネル名の付け方やメンションの仕方などのルールをきちんと決めて運用しなければ、あっという間にカオスになってしまう。また、ひっきりなしに通知がきて仕事の生産性が落ちてしまうという理由で、Slackを解約する企業もある。

 ChatworkはSlackと比べると機能も少なく、外部連携なども弱いが、本来のビジネスコミュニケーションに集中できる必要最低限の機能であり、中小企業が初めてチャットツールを導入するには最適な選択肢だといえる。また、相手のアカウントが分かれば社外でも簡単につながれるため、取引先から「Chatworkでやり取りしたい」と言われると対応せざるを得ないという側面もある。

 いずれのツールも無料のアカウントを作成できる。本格的に社内外のコミュニケーションで使うためには有料アカウントにする必要があるが、機能が制限されているとはいえ、無料でもかなりしっかりと試せるようになっているので、両方とも試した上で自社に合っている方を導入されることをオススメする。

 Slackは単なるチャットツールを超えて、さまざまなツールと連携することで業務上のハブとなるツールに進化している。最近ではハドルという音声コミュニケーションができる機能も追加された。社内のコミュニケーションの中心はSlackであるという企業も増えてきている一方で、これらの機能が複雑で過剰だと感じる企業がかなりの割合いることも事実だ。

 今、社外はもちろん、社内の情報共有手段がメールであるのであれば、いきなりSlackを導入するのは時期尚早かもしれない。メールよりもはるかにスピーディーにやり取りができるチャットの恩恵を受けるためにはChatworkが最適な第一歩だ。この連載で何度も繰り返しているが、どちらが上かという話ではない。自社の規模、業種・業態、従業員の属性などを総合的に考えて、最適なツールを導入できるように検討をしてみてほしい。

執筆者 武内俊介 株式会社BYARD代表取締役、税理士

 

金融の企画部門、会計事務所、ベンチャーの管理部門を経て、税理士・業務設計士として独立。複数社への業務の再構築とITツールの導入支援を提供した後、株式会社BYARDを創業し、業務設計プラットフォーム・BYARDを開発・提供している。

 

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