しかしコーヒーメーカーには、矛盾点がある。それは、高級モデルでもプロのハンドドリップには敵わない点だ。実は家電製品全般に共通するジレンマでもあり、高級炊飯器もかまど炊きご飯には敵わない。家電製品は、誰でも手軽にワンタッチで、調理などを行える点が最大のメリットなのだ。
さらにコーヒーメーカーが難しいのは、コーヒーが嗜好品だという点。高級モデル未満であれば好みの味の再現が重視されるし、美味しさを追求すると高級コーヒーメーカーに人気が集まる。しかし本当に味を追求し続けると、ハンドドリップに行き着いてしまうのだ。手軽さと美味しさ、そして製品価格の高いレベルでのバランスが求められている。
嗜好品としてのコーヒーを抽出するコーヒーメーカーは、味の好みがさまざまだからこそ正解がなく、製品化が極めて難しい家電といえる。
最近ではミル付きの全自動コーヒーメーカーに加えて、 自宅で生豆を焙煎できる家庭用焙煎機も増加している。コーヒー関連市場が拡大すればするほど、サイフォニスタや、家庭焙煎機のようなニッチな製品も増えてくる。
大ヒットが生まれるというよりは、嗜好品であるためにさまざまな好みに対して多種多様な方向性に進化を続けるのが、コーヒーメーカー市場の特徴だといえるだろう。
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