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“格好いい音楽”を数クリックで作れ! Webアプリで曲をミックス 完成度は?遊んで学べる「Experiments with Google」(第35回)(1/2 ページ)

» 2023年04月28日 07時30分 公開
[佐藤信彦ITmedia]

 4月も下旬に差し掛かり、新生活や新年度に慣れ始めた頃だろうか。新たな仕事や新天地での人間関係に向き合っていると、環境変化に不安や疲れを感じたり気軽に話せる友人や仲間を見つけたいと焦ったりしてしまう。

 そこで提案したいのが「パーティー」だ。何も肩ひじ張ったものではなく、オフィスでの親睦会や一人で気分転換するイメージだ。ただし、何も準備しないと盛り上がるものもうまくいかなくなる。会話が途切れるなど気まず空気になりがちで、筆者にも必死に話題を探し続けて気疲れした記憶がある。そんなときに備えてみんなで盛り上がれるゲームなどを用意しておくと良い。

 そこで、この連載で紹介してきたGoogleのITコンテンツまとめ「Experiments with Google」を見てみると、理屈抜きに楽しいものがたくさんあった。その中から今回はパーティーをするというコンセプトで2つのコンテンツを遊んでみた。

連載:遊んで学べる「Experiments with Google」

 「Experiments with Google」は、GoogleがAIやARといった最新テクノロジーの可能性を示すために、実験的な応用例を紹介するショーケースだ。膨大なコンテンツを公開しており、その多くはスマートフォンやPCで試せる。

 この連載では、多種多様な応用例の中から興味深いものをピックアップ。実際に遊んだ体験レポートを通して、裏側にあるテクノロジーや技術の活用方法とその目的を解説する。

“格好いい音楽”を作れ! 音を混ぜる「マッシュアップ」に挑戦

 今回遊んだ1つ目は、パーティーを盛り上げるのには欠かせない音楽を再生するWebアプリ「Adventure Machine」だ。Adventure Machineを使えば、音や曲を混ぜ合わせて誰も聞いたことのない音楽を生み出す「マッシュアップ」を手軽にできる。

 音楽を再生する場合、一般的にはアーティストが作った楽曲を流す。それに対してマッシュアップは、別々の曲からボーカルやドラム、ベースなどのパーツをバラバラに切り出して組み合わせ、新しい1つの曲として演奏する音楽技法だ。異なる曲の断片が重なることで、思いがけず魅力的で格好いいフレーズが生まれることがある。

 このマッシュアップを簡単にプレイできるのがAdventure Machineだ。ドラムとベース、ボーカル、メロディといったいわゆる「上物」と呼ばれるパートから、それぞれ好きなものを選べばリアルタイムにマッシュアップできてしまう。

photo マッシュアップができるWebアプリ「Adventure Machine」(出典:Adventure MachinのWebサイト)

世界的ミュージシャンの楽曲を「マッシュアップ素材」に

 マッシュアップする場合、通常は素材となる音の選び方にセンスが問われる。その点、Adventure Machineは心配ない。リミックスやマッシュアップで世界的に有名なミュージシャンであるMadeon(マデオン)のデビューアルバム「Adventure」(アドヴェンチャー)からサンプリングした音が用意されているからだ。これなら、どのフレーズを選んでもハズレはないはず。

photo Madeonはリミックスやマッシュアップで世界的に有名(出典:Madeonソニーミュージック

ボタンを押すだけでOK 格好よくマッシュアップ

 それでは早速マッシュアップしてみよう。Adventure Machineを起動すると、Adventureのアルバムジャケットと似た画面が現れる。ここで画面右端にある「ADVENTURE MACHINE」ボタンをクリックすると、いよいよプレイ開始だ。

photo デビューアルバム「Adventure Machine」のアルバムジャケット風画面

 フレーズの選択は、画面中央に表示されたマスをクリックして行う。左側の青いマスがドラム、真ん中の緑のマスが上物、左の赤いマスがベースのフレーズに割り当てられている。なおドラムとベースで選べるフレーズは、それぞれ1つだけ。上物は、最大3種類のフレーズを重ねられる。

photo 左の青いマスがドラム、中の緑のマスが上物、左の赤いマスがベース

 とにかく操作は簡単で、ただボタンを好きなように押していけばいい。いい加減なタイミングでボタンを押しても、フレーズはリズムに合わせて小節の頭で切り替わるので失敗しない。深く考えず、素晴らしいフレーズが偶然流れることを楽しもう。

初めてなのに格好良くマッシュアップできた

公開1週間で32万ユーザー突破 制作背景は?

 Adventure Machineは、Madeonのアルバム発表に合わせた話題作りとして「We Make Awesome Sh」というクリエイターグループが制作した。同グループのWebサイトによると公開後1週間のユニークユーザーは32万超だったという。

 このコンテンツでは、Webブラウザ上で音を生成して再生するためのAPI「WebAudio API」を活用している。またWebアプリから電子楽器などにアクセスしてMIDIデータ(楽譜情報)を入出力できる「WebMIDI API」を使うと、電子楽器メーカーの英Novation社のMIDIコントローラー「Launchpad」でマッシュアップできるという。

 作ったオリジナルの音楽は、URLをメモしておけばいつでも再現できる。パーティーで即興で音楽を奏でるだけでなく、事前に作ってマイベストを流したり、友人に共有して楽しめるコンテンツだ。

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