山田 僕、自分の世界観がコンサバなので稲見先生的にはご不満かもと思いながら聞きに来たんですが、意外とそうでもなかった、ということですかね?
稲見 やっぱりプロレス形式にしましょうか?
山田 www
山田 ちょっと研究のことを理解し切っていなくて恐縮なんですけど、例えば指や手を増やすとき、認知的にはどうなってるんですか? 要するにもう1個の手を動かすっていう感覚が発生するんですか?
稲見 少なくとも6本目の指の場合はどういう風になっていくかというと、まず小指の外側に指が付く、そこに全体が黒い6本指の手袋をかけて、あんまり見た目で区別がつかないようにする。
6本目の指の動かし方としては、腕の特定部位の筋肉をギュッと収縮するとクッと曲がるようになっています。ちょっと特殊な動作なんですが、そうやって動かしているとだんだん、小指の存在感があいまいになってくるんですよ。
山田 それは確かに脳の可塑性みたいな性質で感覚が塗り替えられていそうですね。
稲見 はい。そういうことはおそらくfMRIとかで見ても起きてるのではないかと言われています。さらに、しばらく使った後に外すと、幻肢痛まではいかないんですけど、なんか寂しい感じもするんです。
山田 ああ、自分の体の一部がちょっとなくなっちゃったみたいな。えー、めちゃめちゃ面白いですね。
身体像の拡張というか、情報量を増やすってどこまでできるのかなってちょっと気になってて。
つまり手ももう1本ある、足ももう1本あるような状態になったときに、それぞれを知覚して人間は動かせるんでしょうか。僕が今描いている話がちょっと近い話で、現実の体はあるんだけど、VRにも体がある。普通は、攻殻機動隊とかもそうですけど、ブスって首元とかにジャックインして、現実では寝て向こうの仮想空間に乗り移ってるっていうやつじゃないですか?
そうじゃなくて、両方同時に体感し、両方同時に1つの脳でコントロールするっていう。そういうことが脳インプラントで可能になりましたっていうお話を今作ろうとして(編注:インタビューは6月に実施。該当の回は別冊少年チャンピオン8月号に掲載)。
視覚も何て言うか、ARだったら目の前に浮きますが、そうじゃなくて別の視覚ってのがあって、それを独立した形で脳みそによる処理か可能になったみたいな。
稲見 たかだか1個ぐらいの別の世界だったら余裕でいけると思います。
山田 いけますか!?
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