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不動産大手にできない“まちづくり” スタートアップの秘策は? 未来の都市像を作家と語るSFプロトタイピングに取り組む方法(4/4 ページ)

» 2023年07月28日 08時00分 公開
[大橋博之ITmedia]
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まちの未来は「スマートシティー」が正解なのか? 多様化するまちの理想像

大橋 過去に目を向けていましたが、まちづくりの未来はどうなっていくでしょう? 今はスマートシティー構想を打ち出す自治体などもありますが……。

米田 テクノロジーは時間がたつと変化していきます。10年前に最新だったものが今では最新じゃない。テクノロジーを主体としてまちづくりするとあっという間に古くなってしまいます。まちに何が必要なのかという本質を考えないといけません。その本質に合ったテクノロジーをインタフェースとして入れていかないと。「スマートシティーにすると便利になります」は、全然スマートではないと思います。有楽町が働く人たちがメインの場所だとすると、その人たちにとってどういう機能が必要なのか、何があると有楽町に行きたくなるのか? 人が集まる状態にするには何を残すべきなのかは見つめていかないといけない。近未来のまちづくりをする人に必要な視点だと考えています。

大橋 まちづくりは10年、20年のスパンではなく、100年単位で考えないといけませんよね。

藍銅 私が今住んでいるのは東京でも、少し歩くと小規模な畑があったり、神社があったりします。そんな下町的な風景が残っているまちが好きです。東京全てがスマートシティー化するのではなく、そんな下町的なところも残してくれるとずっと東京に住みたいと思えます。

米田 東京には画一的なまちが多いですよね。新宿と渋谷と銀座と六本木を比べたとき、イメージは若干違うけれど、並んでいるお店は同じだったりする。それは東京に限ったことではないけれど、まちにどれだけエッジを利かせられるかだと思います。「ゆるキャラを作りましょう」とか「B級グルメを作りましょう」とか、そんなことをする必要はなくて、もともとあるまちの良さをとがらせていければ良いのになと思います。

大橋 多様性があって、選択肢があるまちが良いですよね。古いものはつぶして新しいものを建てましょうじゃなくて、古いものが好きという選択肢も残して欲しい。

米田 自分がまちにマッチできるか、入っていけるかという「隙」があることが大事だと思います。それをどう作れるか。新しく来た人も、もともと住んでいる人も一緒になってまちを楽しむ。参加型のまちづくりの仕組みは大事だと思います。まちが受け入れてくれる。自分が関与できる余白をまちは持つべきだと思います。

藍銅 まちが多様化して、みんなが好きなところに住めればいいと思います。私は田舎の雰囲気があるところに住みたいけれど、ビル街に住みたい人はそこに行けばいい。そんなのがギュッと詰まっているのが今の東京だと思っています。多様性を失わずに発展して欲しいですね。

大橋 家は買うのがいいか借りるのがいいか論争がありますが、賃貸で好きなまちを転々とするのが良いかもしれませんね。すると個性のないまちには誰も住もうとしなくなる。そんな未来も良いかもしれません。

アプリユーザー100万人超目指す 

大橋 まちの未来について話したので、今度はお二人今後の予定を教えてください。

米田 膝栗毛は事業としてやっていることなので、きちんと利益を出さなければなりません。行政や地域の企業から請け負い、まち歩きのコンテンツをプロデュースして制作することが今の事業のベースになっています。それをスムーズにやっていくためにはユーザーも獲得しなければなりません。23年3月までの目標値が5万ダウンロードだったのですが、既に超えて8万くらいです(23年6月現在)。24年3月までに10万人を目指しています。もちろん、そこで止まるのではなく、3〜5年後には100万人を超えることが今の展望になっています。

 また「自分が住んでいる場所に近いところを体験できるとうれしい」という声もいただいているので、楽しめるコンテンツをどんどん実装していきたいです。23年度はよりスピーディーにやりたいと思っています。

藍銅 幕末を舞台とした、有楽町も出てくる長編を書いているところです。近いうちに読んでもらえればと思います。

米田 それは楽しみにしています。

大橋 栗毛と藍銅さんとでコラボレーションができたら楽しそうですよね。ありがとうございました。

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 未来の都市は、高層ビルが立ち並び、空飛ぶ自動車が行き交う風景を想像していました。しかし、そんなまちに住みたいだろうか? と考えることも大事だと気付かされました。まちが人に合わせるのではなく、まちに人が合わせる。古いものを壊して新しくしていくのではなく、古いものも大切にしていく。そんな未来の旅やまちが求められていると感じました。

 SFプロトタイピングに興味がある、取り組んでみたい、もしくは取り組んでいるという方、SF作家と未来を語りたいという方がいらっしゃいましたら、ITmedia NEWS編集部までご連絡ください。SFプロトタイピングを提供すると共に、この連載で紹介させていただきたいと考えています。

連載:「SFプロトタイピング」で“未来のイノベーション”を起こせ!

SF《サイエンスフィクション》をビジネスに活用する「SFプロトタイピング」。現実を取り払って“未来のイノベーション”を生み出す可能性を秘めた取り組みの最前線を追う。

「SFプロトタイピング」で“未来のイノベーション”を起こせ!
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