ITmedia NEWS > 製品動向 >

テスラ「Model 3」のオーディオ性能を音響エンジニアがガチ評価 ハイレゾ音源は効果なし?走るガジェット「Tesla」に乗ってます(4/6 ページ)

» 2023年08月06日 18時00分 公開
[山崎潤一郎ITmedia]

Model 3の音を周波数解析して可視化する

 ただ、ここで推論を立て探求しても「音質に差異は感じられない」という事実は変わりません。であるならば、「差異がない」ということを可視化できないものかと考えた末に、冒頭でも触れたように、録音機材を持ち込んでの検証となったわけです。ここからは音質に関するマニアックな話になるのをお許しください。

 Model 3での再生を空気録音し、周波数解析ソフトウェアを使い、前述の「両者に差異はない」という言説を可視化することはできないものかと、試してみました。そこで次の写真のように、Model 3内にマイク、インターフェイス、MacBook Proを持ち込み、192KHz/24ビットのハイレゾ音源を再生し空気録音しました。

トランクからマイクスタンドを伸ばしステレオペアで収録。収録時は、助手席に座りドアやウィンドウはすべて閉めた

 次の図は、TeslaのApple Musicアプリで再生した『新世界』を空気録音したファイルを周波数解析で可視化したものです。

Apple Musicの検証結果。18.5KHzより上は、暗騒音など環境ノイズの成分が-90dBで収録されているだけで音楽的信号はなし

 中段の周波数分析グラフを見ると、18.5KHzより上は-90dBをキープしたまま、収録可能な最高周波数である96KHz(ナイキスト周波数)までフラットな状態を保っています。

 スペクトログラム(紫色のグラフ)の18.5KHzの位置に赤いタテ線が見えますが、これより上は、音楽信号と比較して暗騒音など環境ノイズの成分がほとんどであることを意味しています。つまり、Model 3のこの音源における再生可能周波数の上限は、18.5KHzということです。

 では、ハイレゾ音源を再生した際の周波数成分を見てみましょう。これも上記同様、赤線が18.8KHzに表示されており、ロッシー音源との差異がほとんどないことが見て取れます。周波数分析グラフの形状もほぼ同じです。

192KHz/24ビットのハイレゾ音源の結果。Apple Musicとほぼ同じ周波数特性を示している

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.