坂野氏:保持しているデータをアウトプットにつなげていくのはなかなか難しいというのは、今に始まった話ではありません。ただ、生成AIがデータの入口として機能してくれるとユーザーに利用しやすい形になっていきます。これは四季報の新たな提供価値になるし、データの可能性も広げていくことにもなっていくと思います。もちろん、基本は投資家向けですので、万人に受けるサービスではないかもしれませんが、特定世代向けのサービスではなく、もっと間口は広いサービスにしていきたいと考えています。そういった意味で、データ生かす手法の1つとして生成AIにはとても期待しています。
──β版を通じて、いろいろな可能性が出てきたということですが、サービス提供の形について、直近で変更などは予定されていますか?
坂野氏:四季報AIでは、なにかしらの回答をする際に、その引用元として会社四季報オンラインをほぼ表示するような形になります。なので、会社四季報オンラインの有料会員向けサービスというところは変えようがないですね。有料会員じゃないと肝心の記事を確認することができませんから。また、四季報AIの部分だけを使わせてくれという声はまだいただいてもいません。
──正式版リリースまでに追加していく予定の機能がありますか?
坂野氏:四季報AIに限ったことではないのですが、問いとなるプロンプトが自然文なので、どういう意味でユーザーさんが聞いているのかをチューニングでかみ砕いて生成AIが理解できるようにはもっとしていきたいです。UIもまだまだ改善の余地はあります。また、こういうプロンプトを入れるといい回答が得られますよという例を出すことなどもしていきたいです。投資家はこんな感じで調べているよとか、時事的なこと、話題性の高い業界についてとか、そういったサンプルを出していきたいです。
──ここまで、たくさん答えていただいてありがとうございます。最後に改めて生成AIについて今の時点で感じていることなどあれば教えてください。
坂野氏:私も長くデータと向き合ってきたのですが、生成AIは、これまでのデータベースなどとはまったく違うものだと再認識しました。今後も生成AIは、労働集約の部分を効率化のような切り口で使われるとは思いますが、われわれとしては、それだけはない新たな知を得るきっかけという目的で生成AIを使っていきたいですね。
──個人的には四季報AIにスケジュール的な機能もあるとうれしいなと思いました。毎月、毎週、毎日で調べたいことってあるんですけど、どうしてもうっかり忘れてしまったりします。あと、定点観測でないと気づきにくいことっていうのもあるんですよね
坂野氏:そういうのもいいですね。そういったこともプロンプトのサジェストの一環として取り組めるといいかもしれません。
外からユーザーとして使っているだけでは分からないことをたくさん答えていただき、四季報AIの理解が深まる内容でした。同時に、東洋経済新報社のように多くのデータを持っている会社にとってもヒントになるようなインタビューになったのではないかと思います。私もβ版を使っているユーザーの1人ですので、これからもまずは正式版リリースまで使っていきたいです。
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