明治大学の宮下芳明研究室は8月31日、1那由他(10の60乗、1兆を5回かけた大きさ)通りの味を再現できる装置を開発したと発表した。基本となる5つの味覚(甘味、酸味、塩味、苦味、うま味)や辛味などの味を与える液体を組み合わせることで、さまざまな味を再現可能。また、大規模言語モデル(LLM)との連携機能も持つ。
同研究室が開発した「TTTV3」は複数の液体を使うことで特定の風味を再現できる。液体の管理タンクを計20個内蔵しており、各タンクで1000段階まで制御できるため、全部で10の60乗=1那由他の味を再現可能。これによって、ワインやカカオ、梅干しなどで産地や品種の違いまで再現できるようになったという。
LLMとの連携機能もあり、画像や音声からAIが自動で味を推定、出力することも可能。例えば、マイクで料理名を指示したり、Webカメラで旅先の思い出の料理の写真を見せたりすることで、その味を再現できるという。
味は0.02mL単位で調整する。「これはプロの料理人が行う味の制御よりも細やか」(宮下研)。他にも、元の食べ物の味よりも特定の味を薄く感じさせる「味の減算」も可能という。
この研究成果は、8月30日〜9月2日に東京工科大学で開催する情報処理学会「エンタテインメントコンピューティング2023」で発表する予定。
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