Vision Proは約49万円(発表当時に3499ドルを円換算した額。日本円の公式価格は未定)と非常に高価格な設定であり、限られた層にしか届かないであろうという点。閲覧環境が限られるという問題はかつての3Dスマホと似ている。Appleのことだから他人のiPhoneにも空間ビデオを共有できる仕組みを用意するかもしれないが、それで「空間を再生する」という体験を得られるかは分からない。
ではVision Pro以外のヘッドセット、例えばMeta QuestシリーズなどでAppleが空間ビデオを再生させるかというと、この可能性はあまりないように思う。Appleは自社デバイスを連係させてこそ体験を提供できるというような方針を持っているため、自らオープンにしていくかは疑問だ。
そもそも、VR自体が「VR元年」を何度も繰り返すほどにはしっかりと普及していない。「Meta Quest 2」の出荷台数は2000万台を超えたようだが、それでも「スマホのように誰しも使うようになったか」と言えばそうとまでは言えない。
Appleがあくまでも「空間ビデオ・空間コンピューティング」として、3DともVRとも言わないのは過去の失敗を繰り返さないためかもしれない。いずれにせよ、カメラで空間を捉えることに関心を抱いてきた筆者としては試してみたい気持ちでいっぱいだ。それにしても65万円(iPhone 15 ProとVision Proの合計額)はちょっと高価すぎるが。
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