現在、販売されているのは、外径30mmのリング1個と、外径23.5mmのリング3個がセットになったもので、1980円(税別)でAmazonなどのECサイトを中心に流通している。パッケージを流通先で変えるなど、きちんとビジネスを考えている。
面白いのは、カッコいいパッケージだと店頭ではあまり売れないということ。こういう小さくて、説明が必要な製品は、カッコいいパッケージだと埋もれてしまう。しかし、店頭だと、サンプルを用意して実際に試してもらうことができる。実際に試すと、この製品は強い。
ばね自体の特許は切れているので、誰でも作れるのだけど、使用方法が違うため、このキーリングは特許が取れている。実際、ばねをばねとして使っていないわけで、それはもう新しいモノといって構わないだろう。そのくらい、この発想の転換は面白い。しかも、横から見ると金属製の編目のように見えるデザインも面白い。ただのリングではないことがひと目で分かる。でも、だからこそ、これが何なのかは分かりにくい。
「ギフトショーでブースを出していても、通りがかった人は、パッと見て『知恵の輪?』みたいな感じで通り過ぎるんですよ」と斉藤さん。私もギフトショーで知ったクチだが、最初、通り過ぎようとして、そのリングの形状がカッコよくて足を止めたのだった。
それくらい地味な製品ではあるので、ユーザーからはカラーバリエーションの要望も来る。ただ、ステンレスは塗装が難しい。そこで、300度くらいの熱を加えて、茶色っぽくなったものを「シャンパンゴールド」として製品化、さらに四三酸化鉄皮膜を付けてステンレス表面を黒く見せる「黒染め」という技術を使って、ブラックバージョンも売り出した。小さいアイテムだが、金属加工技術の塊だったりする。
シンプルなリングなのに、使っていて、何となくガジェット感があるのは、こういう様々な技術やアイデアが詰まっていることが感じ取れるからかもしれない。手にしたら、すぐどこかに付けたくなる、そういう魅力があるのだ。
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