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納車式は相変わらずドライだが……選択肢が増えた「日本で買えるEV」とテスラの立ち位置走るガジェット「Tesla」に乗ってます(2/2 ページ)

» 2025年05月31日 10時00分 公開
[山崎潤一郎ITmedia]
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バラエティーさを増してきた「日本で買えるEV」

 3月中旬、東京都世田谷区の二子玉川ライズ イベントスペースにおいて開催された「EV:LIFE 二子玉川2025」というEVやPHEVの展示イベントを見学しました。このイベントは、毎年この時期に開催されており、初めて訪れたのは、2022年だと記憶しています。

 当時は、EV自体の球数が少なく目玉展示は、ソニーのEV「VISION S」(現、ソニー・ホンダモビリティのAFEELA)でした。Model 3の大型スクリーンを中心としたシンプルな内装を見慣れているとはいえ、VISION Sの前一面のディスプレイに驚愕したものです。

 さて、今年のイベントで最も気になったEVは「フォルクスワーゲンID.Buzz」です。ビートルをベースとするいわゆる「ワーゲンバス」のEV版です。昔、知人がワーゲンバスに乗っており、リアエンジンゆえの背後からの耳をつんざく騒音にへきえきした記憶がありますが、EVであれば、そのような心配はないのでしょう。

全幅1985mm、車両重量約2.5トンはなかなかのもの。日本に導入予定だがミニバン王国日本で売れるのだろうか。他にミニバンEVがないの意外と受けるかも

 次に目がとまったのはBMWの「ミニ・クーパーSE」です。EVになってもミニらしいデザインは健在でした。既に市販されており、先日、筆者のModel 3を追い抜いていった同車の姿を横目で見てかっこいいと思ったものです。

狭あいな道の多い我が町には、これくらいのサイズがベスト。機会があれば試乗してみよう

 「フィアット600e」も独特のオーラを発していました。2ドアの「500e」は、街中で何度か見かけますが、4ドアの600eの実物もフィアットらしい意匠でイタリアンなカーライフを想像しぐっときます。イタリアンなカーライフがどんなものか分からないのですが...。かつてのシトロエン乗りとしては、ラテンなフィーリングという点で共通項があるのかもしれません。

眠たげな目が印象的なフィアットのEV。同じ赤でも上記写真のTeslaの赤とは異なりイタリアっぽさを感じる

 「ジープ・アベンジャー」は、存在自体が意外でした。ジープブランド初のEVだそうです。1957年生まれの筆者の場合、「ジープ」ブランドで真っ先に思い浮かぶのは、小学生のときに見ていた「ラット・パトロール」という戦争アクションのテレビドラマです。機関銃を搭載したジープで砂漠を縦横無尽に走り回ります。

 ただ、未来的なデザインのジープ・アベンジャーには、ラット・パトロールのジープようなタフな印象はかけらもありません。聞けば、同じステランティスグループ傘下のフィアット600eと共通のプラットフォームを持つ前輪駆動車だそうです。とはいえ、コンパクトなSUVとして見たら、とても魅力的なEVだと思いました。

イエローが鮮やかな車体。これをベタなモスグリーンで塗装するとよりジープっぽくなるのだろうか

 「ヒョンデ・インスター」も興味深い存在です。日産サクラを除いて、500万円前後かそれ以上が当たり前の日本でのEV商品群の中にあって、普通車サイズで、エントリーモデルが284万9000円は、輝いて見えます。3830×1610×1615mm(全長×全幅×全高)というサイズも日本の道路事情にマッチしています。

 また、輸入車の場合、右ハンドルながら左側のウインカーレバーが普通ですが、ヒョンデのEVは、日本に合わせて右側につけてきました。日本で本気で売ろうという意気込みを感じました。車内には、AC100V/15Aのコンセントも設けられており、災害時など、臨時の電源供給車として機能しそうです。

56万2000円のCEV補助金を受けると実質220万円台購入可能

再認識 Teslaは特別な存在

 今回のイベントで、全てではありませんが、日本で購入できる、あるいは今後発売が予定されているEVを見て感じたことは、「やはりEVとしてのTeslaは傑出しているな」という点です。他車を実際に試乗したわけではないので、走りや乗り味の領域について比較することはできません。

 ただ、Model 3のクルマ全体から発せられる存在感や気配のようなもの、着座したときに伝わってくる「クルマらしからぬ唯一無二な輝き」は、他に類を見ません。Teslaオーナーゆえのひいき目であると同時に、客観性を欠く感想であるという点は重々承知しています。

 それを自覚していてもなお、本稿のような公的なメディアにおいて、ひいき目な筆致を取らせてしまう存在、それが「Teslaというクルマ」と言うことにしておきましょう。筆者のようなTeslaに対して盲信した感想を述べる者をSNSでは「テスラ信者」とやゆする向きもあります。

 私が信者であるかどうかは自分では判断つきませんが、過去の耐久消費財における購買行動を振り返ると、ソニー、シトロエン、アップルと、いくつかの「信者」遍歴を経ています。お気に入りのメーカーがありその製品に囲まれて日々の生活を送ることはとてもすてきなことですし、それは誰にでもあることだと思います。これからも愛車と共に、充実したクルマ生活を送りたいと願いつつ、3月の冷たい雨が降るイベント会場を後にしました。

著者プロフィール

山崎潤一郎

音楽制作業の傍らライターとしても活動。クラシックジャンルを中心に、多数のアルバム制作に携わる。Pure Sound Dogレコード主宰。ライターとしては、講談社、KADOKAWA、ソフトバンククリエイティブなどから多数の著書を上梓している。また、鍵盤楽器アプリ「Super Manetron」「Pocket Organ C3B3」「Alina String Ensemble」などの開発者。音楽趣味はプログレ。Twitter ID: @yamasakiTesla


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