先週のアクセス1位は「メタバース」の現在地についての記事だった。コロナ禍で拡大していたメタバース市場に急ブレーキがかかっているという。2024〜25年にかけ、大手企業が手掛けていた複数のメタバースプラットフォームが相次いで終了しているそうだ。
記事では、VR空間を利用するためのヘッドセットの利用が面倒、といった声を紹介。メタバース普及の鍵として、VR環境が手軽になることや、生成AI技術などによって3Dコンテンツ生成がより感嘆になること、“キラーコンテンツ”の誕生などを挙げている。
この視点は、大人の目線、ビジネス面では正しいのだろうが、我が家の小学生の2人の子どもからは、ちょっと違う風景が見えてくる。
2人は「Roblox」でよく遊んでいる。記事でも紹介されているがRobloxは、子どもに人気のグローバルなオンラインゲームプラットフォームだ。自分のアバターを使って3D空間で遊べるゲームが無数に公開されている。
子ども達はRobloxで何をしているかというと、「追いかけっこ」と「かくれんぼ」だ。誰かが構築した3D空間で、自分のアバターを操作し、兄妹で追いかけっこしているのだ。3D空間を公園のように使い、やっているのは現実世界と同じ遊びだ。
Nintendo Switchの「あつまれ どうぶつの森」(あつ森)でも、友達同士でよく遊んでいる。そこでやっているのも追いかけっことかくれんぼ。女の子同士だと、アバターを着せ替えてファッションショーを始めることもある。子ども達に人気の「マイクラ」ことMinecraftも、自由に遊べる仮想空間だ。
そもそもメタバースとは何だろうか? 由来となったSF小説「スノウ・クラッシュ」では、ゴーグルを着けて没入する、現実そっくりの仮想空間をそう呼んでいるようだ。しかし、日本でメタバースの先駆けと報じられた3D仮想空間「Second Life」は、2007年のブームのピーク時はVRゴーグルに対応していなかった。VR=メタバースというわけでもなさそうだ。
現実社会に似た3D空間で、自分のアバターを作って自由に動ける、という面だけで見れば、Robloxやマイクラはメタバースと言えそう。あつ森は2Dだが、自由度の面ではメタバースといえる気がする。自由度の高いゲームとメタバースの境はとてもあいまいかもしれない。
デジタルデバイスを使いこなす小学生にとって、自分のアバターでオンライン世界で遊ぶのは、友達と公園で遊ぶぐらい普通だ。3DやVRがもっと手軽になれば、メタバースにアクセスするツールの一つとして違和感なく使っていくような気がする。
大人たちはビジネスの規模や事業性ばかり気にするが、子どもたちにはそんな事情は関係ない。メタバースの未来は、案外身近なところで始まっているのかもしれない。
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