もう一つ目立ったジャンルは、誰もが感じているであろう動画に特化したVlogカメラ。ミラーレス一眼では各社が手がけつつあるけど、コンパクトカメラではソニーの独壇場だった。
20年の「ZV-1」(すでに発売終了)を皮切りに、超広角の単焦点レンズにしてVlogに欠かせない自撮りをメインに持ってきた「ZV-1F」(22年)、ZV-1のズームレンズを18-50mm相当とさらに超広角側に振った「ZV-1II」(23年)と投入。
そこに参入してきたのがキヤノン。「Powershot V10」(23年)という単焦点でちょこんと立てて気軽にVlogを撮るユニークなカメラを出したかと思ったら、今度は新型の1.4型センサーを搭載した「Powershot V1」(25年)というハイエンドコンパクトを出してきた。これもZV-1 II同様、ウインドスクリーン同梱で、レンズも15-50mm相当と超広角仕様だ。
ソニーのZVシリーズが1型センサーなので、その2倍の面積を持つセンサーを搭載してきたのがポイント。良いセンサーだと思う。
そして、その間にあってしかるべきかつて隆盛を極めた「ズームレンズを搭載した普通のコンデジ」はどうなったのか。パナソニックが旧機種をベースにしたカメラを少し出している(22年のTX-2Dや25年のTZ99)けれども、そのくらいだ。
ソニーのCyber-shot RX100シリーズは、最新モデルのRX100 VIIは19年発売。続いてキヤノンのPowershot G7 X Mark IIIも19年発売。6年以上前に出たきりである。
ここ数年でみると、ガチの写真好きに向けた単焦点コンパクトか動画ユーザーを引きつけるべく登場したVlog仕様コンパクトに二極化してたのだ。
そうなった流れは分からないでもない。
従来のコンパクトデジカメ市場はスマートフォンに置き換わり、その上でしっかりしたカメラで写真を撮りたい、撮影を楽しみたい層のためにクオリティ重視の単焦点ハイエンドコンパクトが、動画をより本格的に撮りたいという層のためにVlogカメラが、と発展してきたのだ。
さらにスマートフォンのカメラが普通にきれいに撮れすぎて面白くなくなってきたところにチープだけどエモい写真を撮れる廉価なオールドコンデジやトイコンデジ(KodakのPIXPROなんかがそうだ)が楽しまれるようになったわけである。
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