電動モビリティーシェアリングサービスのLuupが8月に発表した新型車両「Unimo」(ユニモ)。トヨタグループで自動車部品大手のアイシン(愛知県刈谷市)と開発する姿勢制御機能などが特徴の電動3輪で、2026年度中に公道での実証実験を予定している。
同社が10月15日に開催したメディア向け体験会では、まだ世界に1台しかないコンセプト機に試乗できた。安全性が取り沙汰される電動キックボードに比べた乗り心地はどうか、実際に体験した記者の所感を伝える。
Unimoは白・黒を基調とした、曲線的なシルエットの座り乗り電動三輪車。車両区分は電動キックボードと同じ「特定小型原動機付自転車」で、運転に当たって免許は不要。ヘルメット装着は努力義務となる。
最高時速は20km(歩道や路側帯用モードでは6km)で、姿勢制御機能として、速度とハンドルの角度に応じて車体の傾きをモーターで自動調整する「リーンアシスト」を備える。大きさは59.5(幅)×130(奥行)×120(高さ)cm。車輪の大きさは前輪が12インチ、後輪2つが10インチで、重さは約60kgある。
車体には1本の長いラインが走り、緑に発光。ブレーキ時には一部がオレンジ色に光る。ウィンカーとクラクションは左ハンドルのボタンで、アクセルは右ハンドルのレバー、駐車モード/運転モードの切り替えと歩道モードへの切り替えは同じく右ハンドルのボタンで行う。
ただし一連の仕様はいずれも現時点のもの。今後改良を重ねる中で変更する可能性もあるという。
今回の試乗は、公道ではなく都内の倉庫で実施。普通自動車免許を持っており、たまに自動車や原動機付自転車(原付)、自転車に乗る記者が体験した。屋内に長い円状のコースを設け、ヘルメットをかぶり十数周した。地面は平らで、障害物もない。
実際に乗ってみたところ「車体の後ろ部分がやや重く感じるが、今回の条件なら乗り心地はほぼ原付だな」と感じた。三輪かつ座り乗りなので電動キックボードより安定しており、停車時にも傾かないので不安感は少ない。
一方で電動キックボードよりタイヤ径が大きいからか、キックボードほど小回りが利かない感覚はあり、時速12km以上出すと曲がるのが少し不安だった。他の試乗者はすいすい曲がっていたので、技量の問題もあるかもしれないが。
特徴であるリーンアシストも試した。コースの曲がり角を、何度か車体の角度をつけて曲がってみたが、基本的には「傾きを補正されている感」はあまりなかった。ただし、意図的に急に角度をつけたときには、これ以上車体が傾かないよう後輪部分を押さえつけられているような感覚があった。モーター音などはしなかったが、素材の都合か曲がると後輪を覆うカバーがみしみし鳴ることがあった。
ちなみに車体後ろ部分の重さはリーンアシストの機構によるもの。後輪部分を覆うカバーの中に機構があるため、重量が後ろ寄りになっているという
他の参加者が試乗しているのを見ての感想もある。白い車体と光る緑色のラインは、少なくとも今回の環境ではよく目立つ。ブレーキを踏んだりすると、ハンドル側面や車体背面の発光部がオレンジに光るので、少なくとも電動キックボードに比べ車体や指示器の視認性は良さそうだと感じた。
総じて電動キックボードよりはかなり安全性に気を配っており、乗り手としても安心感があると感じた。坂道の多い郊外などで使えると便利そうだ。ただ、今回は室内かつ平らな道での走行だったので、凹凸のある道でどんな乗り心地なのかは分からず、屋外での走行についてはまだ何ともいえない。
Luupが新車両、免許不要の電動三輪「Unimo」 高齢者の利用見込む 電動キックボード置き換えの可能性も?
電動キックボード開発者が“免許不要”のリスクを指摘 「後で大きなしっぺ返しが来る」
転びにくい電動キックボード、ホンダの社内起業制度から誕生 停止中は自立
街を走る違法な電動キックボードの正体 危険車両が出回る理由Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR