では高校ではどうか。高校の場合は、大学進学を前提とした普通科の高校がある一方で、就職や専門学校への進学を目的とした実業系の高校もある。学ぶ内容はもちろん、学ぶ目的も違っているため、一概には語れないところではある。
ただ、AIを勉強相手として、あるいは解説要員として利用するという学習方法は有効であり、多くの通信系学習塾での導入が進められている。しかし安易に課題をAIからのコピペで済ませるという風潮も広がっており、高校は高校でその指導が求められている。
いずれにしても高校の次のステップは、筆記試験だ。普通科の生徒は大学入試が待っているし、実業系の生徒は資格試験が待っている。やはり「覚えているか」「身についているか」が強く問われるところだ。これは明らかに大学でのAIの使わせ方とは異なる。
問題は、学校教育は転換するのにものすごく時間がかかるということである。特に高校は学習指導要領や教育委員会の意向に縛られるため、短期間での転換はかなり難しい。当面は、学習塾や予備校などでAIを使った指導というのが主力になるだろう。
一方大学は、私立大学を中心に生徒の獲得に過酷な競争が発生しており、推薦枠が半分ぐらいにまで増加している。筆記試験なしで入学できる大学も多い。こうした傾向は、高校で勉強する子としない子を極端に分ける。だがその子たちは結局、同じ大学で合流することになる。
学力が格段に違う状態がスタート地点では、4年間同じ学びを得たとしても、同じレベルになることは難しいだろう。大学でAIの使い方を指導しても、やっぱりコピペで出してくる子の発生は避けられないのかもしれない。
AIの登場によって、高校においても大学においても「人間の学びとは何か」が改めて問われることになったということなのだろう。
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