多くのデジカメは「人物モード」を持っているけれども、積極的に使ってる人は少ないと思う。オートで撮るときとどう違うかがいまひとつ分かりづらいからだ。銀塩フィルムカメラの場合は、人物モードにすると絞りを開いて背景をぼかす(背景がぼけるとその分被写体が浮き出てくるので、人物を撮るには都合がいい)というのが基本になるが、コンパクトデジカメでは絞りを多少調整しても背景があまりぼけないので、人物モードの意義が少ないのだ。
それでも望遠側で顔をアップで撮ろうというときは積極的に使ってみてもよい。多少は背景がぼけてそれらしくなる。
でも人を撮るときに本当に大事なのは、カメラ側の撮影モードじゃなくて、もっと別のところにあるのだ。
同じカットを、撮影する高さを変えて撮ってみたのがこの3枚。微妙なんだけど、この微妙さがクセモノなのだ。
普通、何気なく人の全身を撮ろうと思うと目の高さになる。男の人が女の子を撮ろうとすると、たいてい男の子の方が背が高いので(今回のモデルさんはけっこう背が高かったので分かりづらいが)、目の高さで撮るとどうしても見下ろす形になる。
遠近が付くので顔が大きく身体が小さく(実際より背が低く)見える。特に意図があるとき以外は、相手を見下ろした写真はあまり楽しいものじゃない。
撮るとき、ちょっと腰をかがめて胸からおなかの高さで撮ると、身体のバランスがよくなり、プロポーションがきれいに見える。腰をかがめるのは面倒だけど、特に自分より背が低い人を撮るときはそれだけの価値はあると思う。カメラマンが女の子を撮影してる姿って雑誌やテレビでときどき見るけど、よく見るとちょっと腰を落として撮っているシーンが多いでしょう。そういうことなのです。
逆にちょっと下から撮ると、顔が小さく背が高く見えるが、顔より身体をメインで撮りました、って写真になっちゃうので時には気をつけましょう。極端に下から撮るとまた面白い効果も得られるけれども。
グラビアっぽく撮りたいときはこういうのもいいけれども、撮るのは大変。液晶モニタ回転デジカメを持っている人はモニタを開いて下から撮ればいいが、そうじゃないときは地面スレスレにはいつくばる感じになるので(それでも、液晶モニタを見ながら撮れる分、光学ファインダを覗かねばならないフィルムのカメラよりはずっとましだ)、端から見てるとやや怪しげである。
上から撮るか下から撮るか。背景も考えるとよい。
こういう写真だと上から撮った方が水面が背景に入るので「水から出てきました」というのが分かりやすくなる。ありがちだけれども。
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