粒状感がほぼ気にならないのはこれまで述べた通りで、発色のバランスもいい。キヤノンの色作りは記憶色重視で一貫しているが、DS700の発色はPIXUSシリーズよりも彩度やコントラストが控えめに感じる。
弱点を挙げるとすれば、シャドウの締まりに欠けることだ。CMYの3色混合ブラックなので、多少は仕方ないのだが、人物の髪の毛や日陰のグラデーションなどで表現力が落ちる。暗部の面積が多い画像ほど、苦手さが目立ちやすい。もっとも、よく見かけるスナップ写真ならほとんど気にならず、DS700はスナップ写真の印刷がメインなので、騒ぎ立てるほどの弱点ではないともいえる。
印刷速度については、L判フチなし印刷の1枚あたりにかかった時間を列挙しておく。メモリカードダイレクト印刷が約1分30秒、PCからの最高品質(品位1)が約2分47秒、きれい設定が約2分8秒、標準設定が約1分13秒だった。さすがにPIXUSシリーズには及ばないが、メモリカードダイレクト印刷が約1分30秒なら許容範囲だろう。
DS700は、ネガティブにもポジティブにも受け取れる微妙なプリンタだ。テレビがないとメモリカードダイレクト印刷が実用上使い物にならないのだが、家のテレビに接続して大勢でワイワイガヤガヤしながら印刷するのは楽しいものだ。A4のインクジェットプリンタや複合機よりも、DS700のようなほとんど専用機のほうが、デジカメ画像を気軽に楽しく頻繁に印刷するのかなとも思ったりする。
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