アップル初のマルチボタンマウス――Mighty Mouseをいじってみた(1/4 ページ)

» 2005年08月11日 08時54分 公開
[こばやしゆたか,ITmedia]

 Mighty Mouseは、アップルコンピュータがついに登場させたワンボタンじゃないマウスである。ひとことでいってこいつは「セクシーなマウス」である。今回はこのマウスをいろいろいじってみた。

ハードウェア編

 アップルコンピュータは1984年に最初のMacintoshを発売させて以来、かたくなにワンボタンマウスを作り続けてきた。それは、Mac OS 8でコンテキストメニューを実装させ、それを[Ctrl]+クリックというなんだかゆがんだ操作で呼び出させるようになっても変わらなかった(*1)。

 また、現在のMac OS Xではサードパーティのマウスをつなげば右クリックもホイールによる縦スクロールもOS標準で動作するようになっている。それでもアップル純正マウスはワンボタンだったのだ。

 しかし、ついにアップルが「ワンボタンじゃない」マウスを登場させた。その名は「Mighty Mouse」。満を持して登場させたこいつは、なんともアップルらしい製品なのである。

手前がMighty Mouse、奥はワンボタンマウス

 Mighty Mouseが発表されたのは8月3日だった。ITmediaの編集部は有楽町にあって、銀座のアップルストアに近い。「買って来てください!」とすぐに電話をかけた。そのかいあって、初日に入手できたのだけど、「かなりの量入荷していた」マウスが、午後2時には売り切れるという勢いだったのだ。アップルの「ワンボタンじゃない」マウスを見たかったのはわたしだけではないようだ。

 Mighty Mouseの外見は従来のワンボタンマウスにとっても似ている。ただ、小さなグレイのくりくりしたボール(直径約7ミリ)があるところだけが違う。この、くりくりこそがスクロールボールなのだ。

 このくりくりはちょっとセクシーだ。とりあえずなんにもつながないでくりくりさせてしまう。なかにクリック音を出す仕掛けがあるみたいで、くりくりさせると網戸をツメでこすったくらいのざらざら感じがある。くりくりボールだから、縦横ななめ自由な方向に転がすことができる。あとで詳しくいじるけれど、ウインドウをこのくりくりでスクロールさせるのはかなり快感である。

 くりくりに気を取られて右クリックのことを忘れた。もちろん右クリックもできる。ただし、ボタンは1個しかないらしい。どういうことかというと、このマウスは、ボタンが押されたときに、どの辺りを押されたかを、たぶん静電容量の変化で調べているのだ。そして、くりくりより左がクリックされたらふつうのクリック、右がクリックされたら右クリックと認識しているのだ。

 両方を同時に押したときは左クリックと見なされる。2ボタンマウスを使うときに、ひとによってはマウスの左ボタンに人差し指、右ボタンに中指を常に触れさせておいて、どっちかだけを押しこませる(押してない方も指は触れている)という使い方をする人がいるのだけど、その流儀をこのマウスでやると全部左クリックと見なされてしまう。これは要注意(*2)。

 今までのワンボタンマウスは、左右に指置き場があったのだけど、Mighty Mouseでは、ここはサイドボタン(アップルはスクイーズボタンとよんでいる)になっている。このボタンは左右とも同じもので、どっちを押してもおなじことになるんだけど、実際には左右から2つのボタンをつまむように押し込むという使い方になる。

上がMighty Mouse、下がワンボタンマウス。下のマウスの指押さえの位置にスクイーズボタンがある

 使い勝手は、悪くない。左クリックも右クリックもクリックそのものは実際にスイッチを押し込んでいるので、押したっていうフィードバックが手に帰ってくる。でもスクイーズボタンはちょっとむずかしい。いままでマウスを使うのには使わなかった筋肉を使わされるのだ。これはもっとなれればよくなるものかどうか、しばらくためしてみたい。

 言い忘れたけど、裏は赤く光っている。従来型の光学式マウスだ。いろいろなものの上で試してみたけど、透明なつるつるのものはちょっと苦手らしい。わたしは普段、ポリプロピレンの書類ばさみを切ったものをマウスパッドに使っているのだけど、これはだめ。ポインタがまったく動かない。雑誌の表紙上だと、普通のものならいいのだけど、高級なコーティングしてあるようなものだとポインタが動かなかったり、いきなり飛んだりする。

 条件がいいのは、なんでもない机とか、段ボールとかいったものだ。ジーンズをはいた膝(じゃないか腿)の上で使うのもなかなかいい感じだ。


*1マウスのボタンの長押しでコンテキストメニューを表示させるFinderPopというビールウェアなコントロールパネルが流行した。

*2右クリックの位置に指を軽くおいておいて、消しゴムで左クリックの位置を押し込むという意地の悪い実験をしたら、右クリックと判断された。まあ、こんな実験をするやつのことは気にしないでいい。


ソフトウェア編 1:Tiger(Mac OS X 10.4.2)と純正ドライバ

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