キヤノンのフラッグシップ複合機がまったく新しく生まれ変わった――PIXUS MP950(1/5 ページ)

» 2005年11月02日 14時13分 公開
[林利明(リアクション),ITmedia]

 キヤノンが初めて複合機に本腰を入れてきた。2004年にもフォト画質重視の「PIXUS MP900」と、複合機としてバランスがよかった「PIXUS MP770」を投入したとはいえ、市場における単機能プリンタから複合機へのシフトを見定めていたフシがある。さすがに今年は複合機を重視してくるだろうとは思っていたが、予想以上に複合機を中心としたラインアップだ。

 まず、ハイエンドの「PIXUS MP950」、ミドルハイの「PIXUS MP800」、ミドルの「PIXUS MP500」、エントリーの「PIXUS MP170」といったように、きれいなラインアップを構成している(FAX/ADF搭載のPIXUS MP790も引き続き現行)。その一方で、単機能プリンタの新モデルは、「PIXUS iP7500」、「PIXUS iP4200」という2モデルのみだ。ハイエンドには「PIXUS iP8600」、エントリーには「PIXUS iP1500」と、昨年モデルがラインアップ落ちせずに残されている。また、カラー液晶モニタとメモリカードスロットを備えたフォトダイレクトプリンタの新作として、「PIXUS iP6600D」が加わった。

 今年の技術的な見どころは、新型のプリントエンジンだ。最小インクドロップ量が昨年の2ピコリットルから1ピコリットルへとさらに微細化し、最大印刷解像度も昨年の4800×2400dpiから9600×2400dpiへと高まった。より緻密で滑らかな印刷が期待できるわけだ。ただし、インクドロップの全弾が1ピコリットルではなく、5ピコリットルと併用される(昨年の上位モデルは全弾2ピコリットルのエンジンを備えていた)。キヤノンの資料によると、全弾2ピコリットルのエンジンと比較して、新型エンジンはハイライト部分での粒状感がより低減されたようだ。資料では両エンジンの違いを50倍拡大で示していたが、正直な感想としては、肉眼ではまず区別できない。また、今年の新モデル群には、グリーンインクやレッドインクを使うモデルがない。色域の表現力では、単機能プリンタのハイエンドとして残されたPIXUS iP8600、およびA3機の「PIUXS iP9910」が、今年の新モデル群を上回るとのことである。

 そのほか、アルバム保存で100年は色あせないという「ChromaLife100」の強化、顔料Bkインクの性能向上、ダイレクト印刷時の補正機能の強化、コピー性能の強化などがある。

 ChromaLife100は、従来は最高グレードの純正フォト用紙、プロフェッショナルフォトペーパーのみの対応だったが、スーパーフォトペーパーやエコノミーフォトペーパーなども対応用紙に加わった(フィルム密閉型のアルバムに入れて暗所保存という条件付き)。

 新しい顔料Bkインク(BCI-9/BCI-70/BCI-90)は、従来より耐候性が高まっている。黄色と黒の隣接部分などで従来以上に滲みにくくなったほか、一般的な蛍光ペンでマーキングしても「こすれ」がほとんどない。ダイレクト印刷時の補正機能の強化、コピー性能の強化は、以下に続くPIXUS MP950の中で触れていく。

これぞ「旗艦」の風格――PIXUS MP950

 今年の概要が長くなってしまったが、さっそくフラッグシップ複合機のPIXUS MP950(以下、MP950)を見ていこう。昨年の最上位だったPIXUS MP900は、プリントエンジンや筐体設計が最新ではなかったなど、製品として「?」と感じる部分があった。しかし今年のMP950は、キヤノンの新しい複合機艦隊を率いる旗艦に恥じない実力を備えている。

 本体はまったくの新デザインで、マルチペーパーハンドリングを装備する。マルチペーパーハンドリングの機能は、前面カセット/後面フィーダによる2way給紙、自動両面印刷、CD/DVDレーベル印刷用トレイガイド内蔵という3点だ(関連記事参照)。補足すると、MP950は複合機ということで奥行きが長いため、前面カセットにA4サイズの用紙を給紙するときでも、カセットの全長を伸ばす必要がない。

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 プリントエンジンは今年の新型だ。染料インクの6色(C/M/Y/Bk/PC/PM)に、顔料Bkを加えた全7色を用いる。ノズル数は各色512の合計3584ノズルだ。インクカートリッジも新しくなり、カートリッジ本体に内蔵された赤色LEDによって、インク切れを知らせる。交換するインク色が確実に分かり、誤装着も防げる。

 なお、染料インクの新型カートリッジは「BCI-7e」系となるが、「BCI-7」系を使う昨年モデルでも使用可能だ(赤色LEDは機能しない)。逆に、昨年までの「BCI-7」系のカートリッジは、今年の新モデルでは使えない。

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 スキャナ機能はフィルムにも対応しており、光学解像度が3200dpiのCCDと、光学解像度が800dpiのCCDという、2つのCCDを搭載した点がユニークだ。3200dpiのCCDは高解像度スキャン(おもにフィルム)、800dpiのCCDは低解像度スキャン(おもに反射原稿)に使われる。CCDの光学解像度が高くなると、1画素あたりの感度は落ちる。光量が同じとすれば、光学解像度が低いCCDのほうが高感度であるため、より短時間で原稿を読み取れるわけだ。原稿に合わせた2つのCCDを搭載することで、MP950は単純にフィルム対応とするだけでなく、コピーや反射原稿スキャンの時間短縮も図られている。

 対応フィルムと最大連続スキャン数は、35ミリネガポジのスリーブ×2列(12コマ)、マウント×8コマだ。35ミリスリーブ用と35ミリマウント用に、2つのフィルムホルダが付属する。うち1つは、原稿カバーの内部に収納可能だ。注意したいのは、フィルムのごみ傷対策機能がないこと。キヤノンのフィルム対応フラットベッドスキャナ「CanoScan」シリーズが持つ、赤外線ハードウェア処理のごみ傷除去機能の採用は難しいにしても、ソフトウェア処理のごみ傷低減機能は何とか搭載してほしかった。

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 メモリカードスロットでアダプタが必要なメディアは、miniSDカードやメモリースティックDuoといった小型メディアと、xDピクチャーカードだ。xDピクチャーカードにアダプタが必要なのは昨年から変わらず、そろそろ対応スロットを設けてほしいものである。自社のデジカメ仕様に合わせているとは思いたくないが……。

 そのほか、PictBridgeおよびキヤノン独自のBubble Jet Direct規格でデジカメ/DVカメラを直結したダイレクト印刷、赤外線通信によるカメラ付き携帯電話などからのワイヤレスダイレクト印刷に対応する。特に、赤外線インタフェースを標準で備えるのは、他社製品に対する優位点の1つだ。

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