写真画質は、圧倒的な精細さが特徴だ。画質設定には「標準」「きれい」「品位1」の3通りが用意されいているが(品位1はPC印刷時のみ選択可能)、目視で分かる違いはほとんどない。ルーペで見て初めて、ドット密度が少し違うかもと感じるくらいだ。
発色は意外とあっさり。シャドウからハイライトまで階調はしっかり表現されているが、中間調からハイライトにかけてが明るくなるようだ。このため、全体的にすっきりさっぱりした雰囲気がある。最小ドロップ1ピコリットルの効果はおもに明るい部分で発揮されることから、多少なりとも明度が高くなる色作りをしているのかもしれない。
MP950のメモリカードダイレクト印刷には、逆光や露出アンダーで暗く写った人物を明るく印刷する「顔明るく補正」や、「赤目補正」、「ノイズ除去」といった補正機能がある。顔明るく補正は画像全体を明るくする比較的単純な補正に思われるが、効果は大きい。また、デジカメ画像の暗部にはノイズが潜んでおり、明るくして印刷するとノイズが目立ちやすくなる。顔明るく補正を使うときは、ノイズ除去も有効にしてみるとよいだろう。
スキャン画質は、反射原稿もフィルムも特に問題はない。ネガフィルムは色合いが少し地味だが、細部まできちんと読み取れ、階調もいい。
なお、付属の簡単印刷ツール「Easy-PhotoPrint」にも、新機能が追加された。六切りサイズのプロフェッショナルフォトペーパーなど新しい用紙への対応、証明写真印刷機能、最高画質(品位1)で印刷可能といった強化だ。最大のポイントは、複数フォルダの画像を同時に印刷指定できるようになったことだろう。従来バージョンだと、1つのフォルダでしか印刷画像を選択できなかった。フォルダを変更するたびに、画像選択、用紙設定、レイアウト/印刷という一連の操作を行っていたが、新バージョンでは最初にまとめて印刷画像を選択しておける。
キヤノンの複合機を振り返ってみて、やっと真のハイエンドと呼べるのがMP950だと思う。液晶モニタの視野角は残念だったが、機能と性能、使い勝手において、高い完成度を誇る。フォト環境に優れるのはもちろん、普通紙の印刷品質やコピー性能まで含めて、トータルな複合機として快適に使えるだろう。判断に悩むとすれば、4万円を超える価格と、いささか好みに影響しそうなカラーリングくらいではないだろうか。
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