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32ナノが上から下まで──IDFで公開された2010年のロードマップと「動く!」LarrabeeIntel Developer Forum 2009(2/2 ページ)

IDFのキーノートといえば、欠かせない存在だったパット・ゲルシンガー氏がIDF 2009直前にIntelを去った。彼に代わって登場したマロニー氏は何を語るのだろうか?

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Westmere世代のCPU展開とNetbook向けプラットフォームの進化は?

米IntelのIntel Architecture Groupオペレーションディレクター 兼 バイスプレジデントのスティーブ・スミス氏

 マロニー氏に続いて登場した米IntelのIntel Architecture Groupオペレーションディレクター 兼 上級副社長のスティーブ・スミス氏は、ロードマップのアップデートとキーノートのフォローアップを行った。

 エンタープライズ向けラインアップでは、2009年末のNehalem-EXに続いて、2010年前半にWestmere-EPが登場する。デスクトップPCとノートPCについては、ミッドレンジからハイエンド向けにすでに発表された「Lynnfield」(4コア/8スレッド)と、間もなく登場するとみられる「Clarksfield」(4コア/8スレッド)のNehalemベースがリリースされるほか、バリュークラスとして2009年末までにWestmere世代の「Clarkdale」と「Arrandale」が予定されている。ClarkdaleとArrandaleはともに2コア/4スレッドで、グラフィックスコアがCPUに統合されている点が特徴だ。Westmere世代のハイエンドデスクトップ向けモデルは、2010年前半の「Gulftown」まで待たなければならない。

エンタープライズ分野のロードマップでは、2010年の主力モデルはNehalem-EXとWestmere-EPが担うことになる(写真=左)。クライアント分野のデスクトップPCとノートPC向けモデルのロードマップでは、Westmere世代の第1弾がボリュームゾーンに投下されることになっている(写真=右)

 Westmereでは、32ナノメートルプロセスルールのCPUコアと45ナノメートルプロセスルールのグラフィックスコアの2チップが1つのパッケージに“同居”するが、両者は密接に連携している。CPUコアとグラフィックスコアの接続に遅い外部バスでなく内部バスを使うことで、高速動作や低消費電力の実現が可能になるだけでなく、互いのチップ温度をチェックしながら動作クロックを調整しつつ、パフォーマンスを最大限に引き出す工夫が施されている(この機能の詳細については後ほど別記事にて解説する予定だ)。

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 内蔵されるグラフィックスコアも世代を重ねるごとに強化される予定で、Westmereではグラフィックスコア版Turbo Modeとも呼べる「Graphics Turbo」を導入して、HD動画でのデュアルストリーム再生に対応する。さらにSandybridgeでは「Graphics Turbo+」という形で機能強化が図られるという。

これまで何度も紹介されているように、Westmereではグラフィックス機能がCPUパッケージに統合され、システムのCPUとチップセットはこれまでの3つから2つに減少する(写真=左)。CPUに統合されるメモリバスはDDR3対応でデュアルチャネルをサポートする。グラフィックスコアとCPUコアの相互関係や動作の詳細については別記事で紹介する予定だ(写真=右)
Intel G45 Express、Intel GM45 Expressから、Westmere(Clarkdale、Arrandale)、Sandybridgeに向けて、統合されるグラフィックコアの機能は強化されていく。“Graphics Turbo”と呼ばれるTurbo ModeのGPU版が導入される予定だ(写真=左)。CULV向けのCPUも、2009年末にはデュアルコア構成が標準になる(写真=右)

 ポストNetbookとして2009年にノートPCベンダーが力を入れている超薄型ノートPC(Ultra thin、あるいはモバイル・サブノート PC)カテゴリーでは、CULV(コンシューマー向け超低電圧)版CPUがデュアルコア化されて、さらに普及する予定だ。スミス氏の示した資料では、2009年第4四半期にはボリュームゾーンを中心に、ノートPCのほとんどがデュアルコア対応となり、シングルコアは限られた範囲で採用されるだけになる。モバイル向けノートPCでもデュアルコアが普通となるようだ。

 Netbbokのブームによって市場が急速に広がったAtom(Diamondville)も、2010年には「Pineview」が登場して一新される。Pineview、ならびに、対応するプラットフォームの「Pine Trail」では、ClarkdaleやArrandaleのように、CPUにグラフィックスコアとメモリコントローラが統合されて、チップセットはI/O機能を持つ1つだけになるなど、小型デバイスに適した構成になる。低コストと低消費電力というNetbookで求められる性能をさらに向上させた製品の実現に大きく貢献するだろう。

Netbook向けのAtom(Diamondville)は、2010年以降に「Pineview-M」(モバイル版)と「Pineview-D」(デスクトップ版)に移行する(写真=左)。従来モデルとの違いはグラフィックスコアがCPUに統合される点で、CPUとチップセットをあわせたチップ数も2つとなることで、コストは抑えられ、省電力性能は向上する(写真=右)
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