EMC10でオーディオメディアの入力ソースとして利用可能なものは、MP3、WAV、WMAといったオーディオファイルと、オーディオCD、それにライン入力だ。ライン入力では、レコードやカセットテープなどアナログメディアからのコンバートを想定している。
一方、大量のCDのリッピングに重宝するのが「Rip Multiple CDs」だ。PCに複数の光学ドライブが接続されている場合は、同時取り込みが可能であり、リッピングが完了するとメディアをイジェクト、次のCDを挿入すると自動的にリッピング再開、というように効率のよい作業ができる。
これらのデータの編集は、「Sound Editor」を使用する。マルチトラックによる編集や、VSTを含むサウンドエフェクトを施すことが可能だ。また、オーディオタグエディタでは手動によるタグの編集のほか、CDDBとMusicIDによる自動登録もサポートされる。
CDDBはオーディオCDのデータベースであり、CDからのインポート時には抜群の精度を誇る。一方、MusicIDは音楽の波形そのものを解析して曲情報を得るというものだ。その曲特有のサウンド指紋を元にしており、ライン入力で取り込んだアナログ音源のオーディオファイルであっても曲を識別、自動的にタグを埋め込むことができる。
このMusicIDを利用して、プレイリストの自動作成を行うのが「AutoMix」だ。元になる曲を指定すれば、それをベースに雰囲気の近い曲を自動的に選択してくれる。曲数、バイト数、分数などで出力を制限することができるため、「自宅でのエクササイズ用に60分の音楽CD」「512Mバイトのポータブルオーディオプレーヤー用プレイリスト」などを簡単に作ることができる。このプレイリストを使ってそのままオーディオCDやMP3ディスクを作成できるほか、ポータブルデバイスへの送信や、asx/m3u/plsなどのプレイリストファイルを出力することも可能だ。
編集データの出力形式には、MP3、WAV、WMAなどのオーディオファイルや、オーディオCDのほか、MP3ファイルなどの圧縮オーディオファイルを収録したJukeboxディスク、DVD音楽ディスクも作成できる。
現在、リビングルームにはDVDレコーダーやゲーム機、サラウンドシステムなど、DVDプレーヤー機能を持つデジタル家電が多くなっている。それらの機器の多くはMP3やWMAファイルを再生することもできるが、CDに書き込まれたものしかサポートしておらず、DVDに書き込んでも認識されないことがほとんどだ。しかし、DVD音楽ディスクならばDVDメディアの容量を生かしつつ、2層の場合で最大50時間の長時間記録が可能になる。DVD音楽ディスクはメニューのついたDVD-Videoとして作成されるため、一般的なDVDプレーヤーでの再生が可能だ。
年配の方に限らず、カセットテープやレコードをごっそり所有している人はけっこういるのではないだろうか。しかし、再生するだけでも劣化する媒体ゆえに、押し入れにしまいこんだまま、そのままにしている人もまた多いだろう。そんなときに、EMC10を使ってデジタル化してしまえば、劣化を心配せずに楽しむことができるようになる。オリジナルのテープは処分するもよし、大切にしまっておくもよし。人によってはこれでカセットデッキの処分に踏み切る人がいるかもしれない。
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