――観光地として、メイドやアニメの価値は、どれほどのものですか? 代わりの物があればそれでいい程度でしょうか?
田所氏 アニメは日本文化の1つの財産だと思います。その知的価値というのは非常に大きいものですから、今後も価値は下がらないでしょう。メイド喫茶はアニメ文化から派生したサービスなので、流行的な面があるかもしれません。ただ、メイド喫茶がなくなっても、それに変わる仕掛けやサービスは出てくるとは思います。
例えば、ツクモロボット王国ではロボットを販売していますが、10年後くらいにキャラ系ロボが進化して、ロボメイドカフェみたいなお店が出てくるかもしれません。昔から秋葉原は、そういう技術の進化にともなって、実証実験を兼ねた新しいサービスを提供していく特性があるのです。これは世界でも類を見ない特性で、今後も新しいアイデアがどんどん出てくるでしょうね。
――最近のアキバは、家電からPC、そしてポップカルチャとブームが推移していますが、その次はロボットになりそうですか?
田所氏 そうですね。UDX4階に、最先端産業のデモを行っている新産業文化創出研究所(ICIC)があるのですが、あそこは3D映像を使った実証実験をいろいろ展示しています。そこでは受付嬢が3Dで出てきて「いらっしゃいませ」と応対してくれますが、例えば画像に触ったりすると「止めてください!」とピシャリと叱られてしまいます。そういう映像がもっともっと発展して、10年、15年後にはあたりまえの街になるかもしれません。
――“コテコテ”の近未来像が実現される感じですね。
田所氏 はい。だから、映像の世界やロボット、そういうのは間違いなく10年後には、予想以上のクオリティで提供されているでしょう。
――新技術は世界全体で進んでいくと思います。そうした中で、アキバの個性が埋没してしまう可能性はありませんか?
田所氏 技術という部分では、シリコンバレーなどが最先端でやっていくのだろうとは思いますが、その技術を一般消費者レベルに落とし込むには、一般消費者がいるエリアでないと確かめられない。そうなると、やはり秋葉原は欠かせません。テストマーケティングの街として、この街は世界有数の拠点といえるでしょう。
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