中国復帰10年めの香港電脳事情:山谷剛史の「アジアン・アイティー」(2/3 ページ)

» 2007年11月20日 12時30分 公開
[山谷剛史,ITmedia]

買い尽くされても客が絶えない電脳街

 香港のPC普及率は日本並みに高い。だから電脳街には買い替えユーザーやアップグレード目当てのユーザーが押し寄せてくる。ここ香港でも、土日の人出が多いが、それに加えて、PCの販促を電脳街ぐるみで行うイベント「香港電脳節」が年に一度、数日に渡って行われ(似たようなイベントの“○○電脳節”は、例えば北京の中関村電脳節など中国全土で開催される)、10万人近くが買い物に訪れる。総人口700万人弱の香港で、地元向けのイベントに10万人近い人が集まってくるのだから、PC製品に対する需要は十分にあると考えていいだろう。

 ただし、この中には結構な割合で中国本土からの(観光を兼ねた)買い物客がいることに注意しておきたい。中国本土で販売されているデジタル家電やPCパーツの輸入品には、17%という「増値税」によって、香港よりも高い価格で販売されているのが一般的なのだ。増値税は輸入品すべてにかかるため、PC本体やPCパーツ、デジカメや携帯電話だけでなく、化粧品や服などにも影響する。これらの製品を安く購入しようと中国本土からツアーを仕立てて香港にやってくるのだ。特に香港電脳節(に限らず中国各都市の電脳節でも同様)は、各種電脳製品が格安で購入できるとあって、お隣の広東省からは中国全土の親類縁者同胞たちからオーダーされた買い物リストを携えて、大量の中国人が襲来する。

カオスと無縁な香港電脳街

 香港電脳街の雰囲気は、中国本土の電脳街とはまったく異なる。もちろん、香港の電脳街も、その実態は「電脳ショップ集合ビル」であり、低層階フロア全体を小規模のショップが埋め尽くしているのは香港も中国本土も同じだが、例えば中国本土のメーカーであるレノボやファウンダーなどのブースはなく、メーカー製PCの店頭ラインアップのほとんどが高価なノートPCであるなど、その品ぞろえは異なっている。

 デスクトップPCは各ショップのホワイトボックスPCを販売しているだけだ。ただ、これらの「ショップブランドPC」でも中国本土ではまず見かけないキューブPCが主流であるあたりにも中国と香港の違いを見ることができる。ほかにも、PCパーツの価格表を店頭に張って公開しているのも中国本土では見られない光景だ。

香港の電脳ビル「黄金電脳商場」
中国とは異なる雰囲気の香港電脳街

メーカー製PCというとノートPCばかり
キューブ型ケースも販売されているショップ。「ビックリ特価!」なんて日本語のシールがあるが、ここは香港の電脳街

ショップの前にはショップブランドPCやPCパーツのチラシが大量に置かれている
マツソニック?なるブランドのマザーボードが売られていた

 1つ1つの製品を見ても、香港電脳街の品ぞろえは、中国本土とだいぶ異なるので、PDAやPC周辺機器をウィンドウショッピングをするだけでもツアーで来た買い物軍団には結構面白いはずだ。

 こういう品ぞろえだけでなく、ショップの雰囲気もだいぶ違う。中国本土ではパーツを扱うショップに必ずといっていいほど「円卓」があるが、香港のパーツショップで見かけることはない。また中国本土の電脳街で当たり前の「店番しながらカウンターで堂々と食事をする店員」「店番しながらWindowsに付属するゲーム類で遊んだり映画を見たりする店員」「店番しながら子守をする店員」といったカオスはまずない。

 中国の電脳街というと避けては通れない海賊版だが、香港でも、数年前まで堂々と販売されていた。しかし、いまでは地元に通じた人でないと分かりにくい方法で販売されることが多く、初めて香港を訪れた観光客は、まず購入できないといわれている。とはいえ、香港における海賊版利用率は依然として53%(2007年、BSA調べ)にも達する。

玄人志向も売っていた。中国本土では見かけない
中古のマック販売店も中国本土ではまず見かけない

正規版しか販売してませんよ、とアピールするショップ
その一方で、非公式の交換インクが売られているのは中国本土と同じだ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年09月26日 更新
  1. 実売3万9800円でノートPCを3画面化! ソースネクストのデュアル拡張ディスプレイ「DGP-DMD1401」を試す (2026年09月25日)
  2. AndroidとChromeOSが融合した次世代PC「Googlebook」の実機を見てきた ――AI統合で何が変わるのか? (2026年09月25日)
  3. 新型「Mac mini」「Mac Studio」徹底レビュー! ローカルAIはついに“実用域”へ エージェントAIに事務仕事を任せて分かった驚異の進化 (2026年09月22日)
  4. なぜ競技用ゲーミングPCは光らない? HPSC久木留所長とマウス軣社長が語るアスリート支援の未来 (2026年09月24日)
  5. “Vision Pro級”のMR体験が約100gの軽量グラスで? 最新の「Meta VR Glasses」を試して分かった圧倒的な快適性 (2026年09月25日)
  6. 「これはわれわれにとってのTGSだ」 ロジクールGが年に一度の旗艦イベント「Logicool G PLAY Tokyo 2026」を開催 熱気あふれる会場を現地レポート (2026年09月25日)
  7. 12インチ「Surface Pro」と13インチ「Surface Laptop」に個人向けの第2世代が登場 Snapdragon X2 Plus搭載でメモリは最大24GBに (2026年09月24日)
  8. GeForce RTX 5080は30万円超えの空気感――GPU高騰の裏で見つけた7割引の水冷パーツと8万円台の小型PC (2026年09月26日)
  9. ロジクールGの新型マウス「PRO X3 SUPERSTRIKE」や8K対応キーボード「PRO X2 RAPID」を見てきた (2026年09月24日)
  10. 天空がCore Ultra 5を搭載した10.51型2in1ノート「TENKU Note Pro AI」を発売 (2026年09月24日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー