MicrosoftはWindows Phone 8.1で、さまざまな改良を施した。
「パーソナライズ可能」な電子アシスタント機能の「Cortana(コルタナ)」もその1つだ。
AppleのSiriと異なるのは、徹底的にパーソナライズが可能なことで、スマートフォンの利用履歴を蓄積したり、自分自身で興味のあることを登録したり、頻繁にSNSや電話で連絡している相手を認識するなど、さまざまな情報をもとに、「自分のため」の電子アシスタントになっていくよう作られている。
ただし現在のところ、システムの言語を日本語にするとCortanaは消えてしまい、英語でも使うことはできない。
CortanaにはアプリケーションとつながるAPIも用意されており、対応アプリならばCortanaから直接機能を呼び出すことができる。例えばプリインストールされているSkypeを通じて誰かにボイスチャットをコールすることもでき、今後登場するアプリがCortanaとの連動に関して定義しておくこともできる。
Windows Phoneの特徴的なタイル形状のホーム画面は、ライブタイルの背景に好みの写真やグラフィックスを割り当てることが可能となり、実に多彩なカッコいいロック画面のアニメーションも用意されている。
無線LANについては、無料のアクセスポイントや加入済みのWi-Fiサービスなどを自動的に認識しながら、よりよい品質のアクセスポイントを常に自分自身で探して接続する「Wi-Fi Sense」といった機能、キーボード上を一筆書きでなぞると英単語が素早く入力できる新しいソフトウェアキーボードなどの機能も用意された。
この辺りは個人向けのちょっと気の利いた改良といったところだが、Windows Phone 8.1は個人ユーザー向けの機能よりも、企業向け、あるいは個人で使う場合でも主に仕事の生産性を高める機能改良が多い。ごく当たり前に企業向け端末としてセキュアに利用できるよう作られている。
これまでのWindows Phoneは、Windowsという名前は付いていたものの、コアとなるOSの機能はWindowsとは別のものだったが、今回は企業向けシステムで圧倒的なシェアの“Windows”のシステムへの接続性を高めたのだ。
例えばS/MIMEで署名入りの暗号化メールを送受信したり、受け取った書類をクラウドストレージのOneDrive上に保存してPCやタブレットと連携する機能も、当然ながらシステムに実装されている。
また、設定には「コーポレートアカウント」という項目が追加され、ここに企業に割り振ったIDを入れておくと、端末に登録している個人アカウントとのマッチングを取って、電話機能の集中管理が行える。
例えば企業が業務用端末としてスマートフォンを配布する際、ゲームで遊ぶことを禁止したり、業務に使うアプリを必要な設定とともに自動インストールするなど、PCで言うところのデスクトップ管理が可能になるのだ。
こうした企業端末としての管理性と、前述したような低コスト端末でも十分に高いパフォーマンスを発揮できる点を併せ、企業向けのスマートフォン端末としてWindows Phoneが導入されるケースは増えていくだろう。
これまでもBlackBerryが担ってきた企業向け端末の市場をWindows Phoneが奪うといった構図が続いてきたが、管理性の向上によって、さらにそうした動きが加速されていくことも予想される。
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