Apple Watchが腕時計とウェアラブルの概念を変える林信行による世界先行レビュー(4/5 ページ)

» 2015年04月08日 21時01分 公開

優美で心地よいタイムピース

 「腕時計を再び創造する」のうたい文句からも分かるように、Apple Watchは、まず何よりもタイムピース(時計)であることにこだわった製品である。そこで、ここでは腕時計としての商品という視点からApple Watchを見てみよう。

 Apple Watchは腕時計の歴史に敬意を払い、吟味したうえで、そこに21世紀の最先端製造技術による工夫を加えている。

 例えば、1つのバンドを作るのに9時間かかるという美しいリンクブレスレットというメタルバンドがある。こうしたメタルバンドは、これまでサイズを自分の腕にあわせるのには一度、時計の修理工に持ち込んで、特殊工具を使ってリンクを付けたり外したりしてもらう必要があったが、アップルのものは1つ1つのリンクの裏にボタンがついていて、それをツメで押して外すことができる。

 また、レザーループというバンドはベネチアンレザーのバンドの中にマグネットを仕込んで、無段階で好きな位置で留められるようにしている。

 今回、筆者が試用しているミラネーゼループというバンドも、バンドの先端の留め金にマグネットが仕込まれており、これがバンドにピタっとかなり強い力で吸着し好きな長さで調整できる。

 いつもは手首の近くに強めに付けているが、疲れてきたときは少し緩めたり、MacBook Proで作業をするときは、アルミの本体にぶつからないように(実は使い始めてすぐに留め金部分に少しだけ傷をつけてしまった)、ループを大幅に緩めてヒジに近い位置で固定している。こんな自由度があるバンドはなかなかないはずだ。

 しかもこのミラネーゼループ、ステンレススチールなのに、1つ1つ磨かれたスチールのコイルが滑らかにからみ合い、まるで布のような柔らかい肌触りなのだ。

ミラネーゼループでは留め金に内蔵された強力なマグネットでバンドを固定する

本体から外したミラネーゼループのバンドと充電ケーブル

ミラネーゼループのディテール。金属なのに布のように柔らかい

 このように6タイプのバンドのいずれもが熟考を重ねて作られており、それそれが語られるべきストーリーを持っている。いや、それだけではない。バンドの着脱機構にしても、これまでの腕時計にはなかったものだろう。本体背面にあるボタンのようなものをツメで深く押しこむとロックが外れ、バンドを横方向にスライドさせれば、時計屋に持ち込まなくても簡単にバンドを着脱できる。別のバンドをスライドさせて差し込むと、カチっという気持ちのいい音がなってバンドがしっかりと固定される。

 実はバンドの先端には3つの金具のようなものがついており、スライドインさせるとそれが留め金として機能するようだ。時計職人にこの機構を見せたら、クレバーな機構にきっと声を上げてうなることだろう。

購入を含めすべての体験のディテールまで作り込み

 Apple Watchを買う際、多くの人はおそらく30分くらいの時間をかけて全タイプの試着をすると思う(狙いを定めていた以外のバンドも意外によくて、かなり悩まされる)。だが実は、バンド部分はそんなに悩まなくても後で交換用のバンドだけ購入して、変化を楽しむ、といった使い方も可能なのだ。

 ちなみにバンドをスライドさせる本体側の溝の中には繊細なレーザー加工で本体モデルナンバーやシリアル番号、そしていくつかの必要な表示が彫り込まれている。こんな細かな工夫も実にアップルらしい。

同じApple Watchをスポーツバンドに替えてみた。このバンドは驚くほどほどもちもちした心地よい肌触りのエラストマー素材が採用されている

モデル番号やシリアル番号、必要表示などはバンドを取り外した溝の中にレーザー刻印されている

 どの時計にするかを決め、購入した後は本体を開封する楽しみが待っている。写真に写っているのは新宿の伊勢丹やパリのギャラリー・ラファイェット、ロンドンのセルフリッジに作られたApple Watch Storeで販売に使われる紙袋。実はこの紙袋の手提げひもが紙をサーキュラーニッティングという方法で編んだものになっている――という点からも分かるように、Apple Watchに関して目にするもの、手にするものは、ほんのささいな部分に至るまでビックリするような工夫や新たな挑戦で溢れている。

Apple Watchの内箱とApple Watch Storeの紙袋。面白い肌触りの手提げひもが実は特殊加工の紙で「こんなところまで凝っていたのか」と驚かされる

Apple Watchの標準エディションは角の立った真っ白なパッケージ(外箱)に収まっている。箱を開くと、その中には白く美しい樹脂製の化粧箱があり、本体はその中に収まっている

 角が立った真っ白な紙の箱の上面には深いエンボスで製品名が彫られ、正面にはどのモデルかがシールなどではなく光沢のある印刷でプリントされている。中を開くと真っ白な樹脂の美しい化粧箱が表れ、Apple Watchはそこに収まっている(Editionシリーズでは、この化粧箱に本体をきれいに飾りながら充電する機構がついている)。

 そしてその下には、Watch本体背面にマグネットでピタっと吸着する充電ケーブルも収まっている。ちなみに片方の口がUSBタイプになっているので、これをパソコンに指して充電するものだと思いこむ人が多そうだが、実はApple WatchはiPhoneの周辺アクセサリーであってパソコンとは特に連携しないので、数の限られたパソコンのUSBポートに挿して充電する意味は特にない。

Apple Watchの充電ケーブルは本体背面にマグネットでピタっと吸着する

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