発表前からのうわさも含めて、この新型MacBook Proは「タッチパネルの採用」が最も大きな話題と見られていた。OLEDディスプレイを採用したノートPCは市場に数多くあり、Appleはある意味で“後追い”の立場だ。加えて、市場では珍しくないタッチ操作に対応するノートPCも、Appleとしては“初めて”の投入である。
しかし先述の通り、この製品が持つ“第一義”は、高画質のディスプレイにある。その上で、「従来の使い方に加えて、操作面の選択肢として、タッチ操作も可能になりました」と考えた方がよい。
では、AppleはなぜMacBook Proにタッチパネルを搭載しようと考えたのだろうか。
タッチパネルの搭載は、「Macの基本」を崩そうと意図したわけではない。Macの基本はそのままに、「Logic Pro」「Final Cut Pro」「DaVinci Resolve」といったプロ向けのツールで、クリエイターが使う機能を指でも扱えるようにしたと考えるのが妥当だ。
最大10本の指を同時に識別できる「マルチタッチ」と、本体キーボードをうまく組み合わせることで、まるで各ジャンルの専用コントローラーを使うかのように、トラックパッドではさばききれない“奥深い操作”をできるようにしたともいえる。
このような位置付けを考えれば、既存のLiquid Retina XDR(Mini LED液晶)ディスプレイ搭載モデルが継続販売(併売)される意味も見えてくる。既存モデルに米国では400ドル、日本では7万〜8万円をプラスすればPROLED XDRディスプレイ搭載構成にできるという値付けだ。
そして、PROLED XDRディスプレイ搭載モデルの前日に発表されたM6チップ搭載の14インチモデルは従来モデルと同じボディー、同じLiquid Retina XDRディスプレイを採用しており、日本のApple Storeにおける最小構成価格は33万9800円だ。価格はM5チップモデルの現行価格から据え置きとなっている。
本イベントの講演で、ターナスCEOはM6チップの14インチMacBook Proについて「大学生やアマチュアクリエイター、ビジネスユーザーに最適」と紹介している。
これにより、MacBook Proは大きく3つのラインアップに分かれた。
M6チップ搭載14インチモデルは学生やアマチュアクリエイター、ビジネスユーザーをカバーしている。「それじゃあちょっとパワーが足りないよ」というユーザーには、CPU/GPUコアの数やメモリ帯域の幅で有利なM5 Pro/M5 Maxチップを搭載する従来モデルを提供する。そして、「もっとキレイなディスプレイが欲しい」「タッチ操作で作業効率を高めたい」という場合は、今回登場したPROLED XDRディスプレイ搭載モデルを選べばいい。
このように、自分のワークフローに合わせて選び分けることになる。ぱっと見だと分かりにくい面もあるが、PROLED XDRディスプレイモデルの“鮮烈な”ディスプレイを見れば、「これは従来モデルと分けるのも一理ある」と分かるだろう。
写真では伝えきれないのだが、PROLED XDRディスプレイ搭載モデルのディスプレイの美しさは鮮烈だ。Liquid Retina XDRディスプレイモデルとは“別の”ラインアップとして切り分けたのは理解できるPROLED XDRディスプレイ搭載モデルのApple Storeにおける最小構成(M5 Proチップ搭載)の販売価格は、14インチで49万9800円、16インチで59万9800円からと、価格面における“優しさ”はない。昨今の米ドルとの為替レートもあって、少し割高感があるのも事実だ。
とはいえ、高品位なディスプレイをベースに仕事をしているクリエイターなら、この価格は“正当化”できるのではないだろうか。業務用のレファレンスディスプレイは単体で数十万円から数百万円する上に、持ち運べる重さではない。そのクオリティーが50万〜60万円スタートで手に入ると考えれば、なおさらだ。
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