取材を通じて筆者が理解したのは、タッチ操作をMacの標準として位置付けたわけではないということだ。
Macをタッチ“だけ”で操作するような使い方は想定されておらず、操作の主役はあくまでもトラックパッドとキーボードである。今回のPROLED XDRディスプレイ搭載MacBook Proは、「最高の画質を求める人のためのディスプレイに、タッチという選択肢を加えた」という位置付けだ。
一方で、タッチ操作は「後から足した機能」かといえば、そうではない。タッチの制御はM5 Pro/M5 Maxチップのディスプレイエンジンと一体で設計されているとのことで、チップの設計から製造までにかかる年月を考えれば、かなり前から計画されていたことであることは間違いない。
ヒンジの設計や熱の逃がし方の変更、カメラの手ブレ補正まで含めて、タッチを前提に作り直した製品といっていい。
結局、MacBook Proのユーザーは、どこまでタッチ機能を必要とするのだろうか――率直にいうと、タッチ機能が本当に多くのユーザーに使われるのか、筆者にはまだ確信が持てない。
「和音を弾く」「立体を回す」「カラーホイールを指で回す」「タイムラインを直接つかむ」といった、ポインタでは代わりが利かない場面は確かにある。スタジオの機材を持ち出せない場所で、画面がその一部を肩代わりする使い方も想像できる。
しかし、クリエイターが日々の作業の中で、キーボードとトラックパッドから手を離して画面に触れるようになっていくかは、時間の経過を見なければ判断できない。
一方で、確かなこともある。ディスプレイの画質はOLEDディスプレイ搭載ノートPCとは“別物”だ。タッチの感度と精度も高く、Macの小さなUIを拡大しなくても指で扱えてしまう。そしてApple以外のデベロッパーも、タッチを前提にした操作を既に作り込み始めている。
製品情報で仕様を読むだけなら、「え、Windows PCから何年遅れてるの……?」という感想になるかもしれない。Microsoftは2012年の「Windows 8」において、PCにタッチを前提にしたUIを持ち込み、マルチタッチをクリエイター向けに応用しようという試みも進めてきた。しかし、タッチ対応のWindowsノートPCには、画面をたたいたときの揺れが気になる製品も少なくない。
今回の評価は、体験会の短い時間のデモに基づくものだ。オプションとして用意されたタッチ機能を、長時間の作業の中で自分がどう感じるか。そして何より、本当に画面へ手を伸ばすようになるのか――11月6日の発売までに、実機で確かめたいと思う。
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