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CULV版はインテルだけじゃない!!──Congo採用のちょい上ノートPC「HP Pavilion Notebook PC dm3a」の実力は!?dv2の直系が登場(2/2 ページ)

13.3型ワイド液晶を搭載した低価格スリムノートPCを複数ラインアップする日本HP製品の中で、唯一のAMDプラットフォーム採用モデルが「dm3a」だ。

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キーボードは扱いやすいがタッチパッドはクセがある

底面はマグネシウム合金を採用する。HDDベイや2基あるメモリスロットには底面から簡単にアクセスできる

 性能を比較する前に、簡単に本機の概要をまとめておこう。

 キーボードは従来のdv2シリーズとは異なり、ビジネス向けのHP ProBookシリーズと同じキャラメル型を採用する。19ミリの正方ピッチと2.5ミリのキーストロークを維持したキーボードで、不規則な配列もなく扱いやすいが、四隅にある4つのキーが丸みを帯び、カーソルキーの上下が左右キーの半分ほどの大きさしかない点は好みが分かれるところだ。また、キー入力時にカチャカチャと安っぽい音が鳴る点も気になった。細かいところでは、出荷時のファンクションキーの設定が輝度調整や音量調整に割り当てられているので、通常のファンクションキーとして利用する際は、Fnキーとの同時押しかBIOSセットアップで設定を変更する必要がある。

 シンプルなタッチパッドは2ボタンタイプで、同社製ノートPCでおなじみのタッチパッドの機能をオン/オフするボタンも用意されている。ジェスチャー操作に対応したアルプス電気製の多機能ドライバが導入済みだが、パッドの表面にメッキ調の塗装がされ、指が滑りにくいのはいただけない。下位モデルのdm1はこのような塗装が省かれており、むしろ好ましい。なお、90ミリほどある幅広のパームレストには、音楽や静止画、オンライン動画、DVD-Videoが快適に再生でき、メールとWebページを楽しめることを意味する「AMD VISION」ロゴのシールが張られている。

 インタフェースの構成もdm3iシリーズと変わりなく、両側面にまとまって配置される。左側面に100BASE-TX対応の有線LAN、アナログRGB、HDMI出力(HDCP/音声同時出力対応)、USB 2.0×2、メモリカードリーダー(SDHC対応SDメモリーカード/PRO対応メモリースティック/MMC/xDピクチャーカード)、ヘッドフォン、マイクが、右側面に電源スイッチ、プッシュ型の無線LANオン/オフスイッチ、USB 2.0×2、排気口、ケンジントンロックポートが並ぶ。前面下部にAltec Lansing製のステレオスピーカーがあり、メインPCとしても活用できる構成だ。

 ACアダプタはdm3iやdm1と共通で、サイズはクラス標準レベルだが、電源ケーブルが太くかさばるので、携帯時は付属のL字型プラグを活用したい。ちなみにACアダプタと電源ケーブルの重量が約410グラムあるのに対し、L字型プラグでは約285グラムにまで減る。


幅広のパームレストとあいまって、19ミリ正方ピッチのキーボードは入力しやすい

サイズが85(横)×40(奥行き)ミリのタッチパッドはメッキ調の塗装がなされているため、指が滑りにくい

アルプス製の多機能ドライバが導入済みだ。ピンチズームやローテーション操作が行える

ボディ前面(写真=左)と背面(写真=右)

インタフェースは両側面にまとまっている。左側面(写真=左)と右側面(写真=右)。4基のUSB 2.0(左右で2基ずつ)やHDMI端子が並ぶ

チップセット内蔵のグラフィックス性能は良好

dm3aのWindowsエクスペリエンスインデックス画面

 それでは、dm3aの性能をベンチマークテストで見ていこう。比較には、CPUにCore 2 Duo SP9300(2.26GHz)搭載のdm3i ハイパフォーマンスモデルと、CULV版Celeron SU2300(1.2GHz)搭載のdm3i ベーシックモデルを使った。

 dm3aのWindowsエクスペリエンスインデックス画面は右の通りで、dm3iベーシックモデルの上、dm3iハイパフォーマンスモデルより下というところに落ち着いた。グラフィックス性能を計る3DMark06やFINAL FANTASY XI Official Benchmark 3も同様の傾向を示しており、チップセット内蔵GPUとしてはIntel GMA 4500MHDより高性能だ。

 一方、PCの総合的なパフォーマンスを計測するPCMark05やPCMark Vantageでは、dm3iベーシックモデルとほぼ同等あるいは一部で下回るスコアにとどまっており、物足りなさを覚える。

 海人氏作のBBench 1.01を使ったバッテリー駆動時間テストは、IEEE802.11gの無線LANでWeb巡回(60秒間隔/10サイト)、10秒間隔でのキーストローク、輝度最高という設定で実施したところ、ハイパフォーマンスモードで3時間57分、省電力モードで4時間24分という結果だった。ハイパフォーマンスモードの時間は、同様の条件で行ったdm3iハイパフォーマンスモデルとほぼ同じ(3時間54分)であり、dm3iベーシックモデルの4時間58分より短かった。とはいえ、従来のdv2シリーズに比べてテストスコアは1時間以上延びており、公称の駆動時間が約6時間(dm3iハイパフォーマンスモデルは約8時間、dm3iベーシックモデルが約10時間)と3モデルの中で最も短いことを考えると、十分健闘しているといえるだろう。

 ボディの発熱や騒音は、dm3aになって大きく改善された。dv2シリーズはファンの風切り音がアイドル時でもやや耳障りに感じるときがあったが、dm3aではグッと静かになり、アイドル状態ならオフィスの環境音に紛れる程度になった。深夜の静かな環境でシステムに高い負荷をかけるとさすがに風切り音が気になったが、ファンの回転は一定で不快に感じるほどではなかった。発熱に関しては金属ボディゆえ全体が熱っぽくなるのはdv2譲りだが、それでも高負荷時で底面左側にあるメモリ付近で40度前後に収まっており、極端に熱くなる部分はなかった。ただ、左パームレストやタッチパッドが38度に対し、右パームレストが33度と左右で温度差があるのは気になるところだ。


PCMark Vantageのテスト結果

PCMark05のテスト結果

3DMark Vantage(Entry)のテスト結果

3DMark06のテスト結果(写真=左)と、FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3のテスト結果(写真=右)

 冒頭でも触れた通り、dm3シリーズにはインテルプラットフォームとAMDプラットフォームが用意されている。ボディサイズや重量、液晶ディスプレイや画面解像度などは共通で、CPUやチップセット、バッテリー駆動時間、そして価格が異なるわけで、どれを選ぶのかが悩ましい。テスト結果を見る限り、絶対的な性能や長時間のバッテリー駆動を重視するのであればインテルプラットフォーム採用のdm3iシリーズに軍配が上がる。ただ、dm3iシリーズはDVDスーパーマルチドライブが初めからセットになっているほか、dm3iシリーズの販路が直販のHP Directplusに限られるの対し、dm3iは大手量販店で購入でき、実機を確認できるのがメリットだ。実売価格は9万円前後とdm3iベーシックモデルと1万円近い差額があるが、dm3aは量販店のポイント還元を考慮すると、その差は大幅に縮まる。

 このあたりの要素をどのように勘案するかで、おのずと回答が出てくると思われるが、上質な金属ボディは他社のCULVノートPCとは一線を画するものがある。その点で、全モデルを店頭で触ることができないのは何とももどかしい。今後の販売チャンネルの拡大に期待したいところだ。

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