iOS 5+iCloudで大きな変貌を遂げるiPad、iPhone、iPod touch:iOS 5は2011年秋リリース(3/3 ページ)
米Appleの開発者向けイベント「World Wide Developer Conference 2011(WDC2011)」が6月6日(現地時間)に開幕。スティーブ・ジョブズ氏も登壇した基調講演では、iOSの新たな展開が垣間見えた。
「iCloud」サービスとは
iCloudは、Appleが提供する新しいクラウドサービスだ。メールや文書ファイル、データのバックアップなどに使える5Gバイトまでのストレージスペースと、写真や音楽データの同期サービスが利用できる。iOS 5のリリースと同時にサービスを開始予定で、ほとんどのサービスは無料で提供される。
既存の「MobileMe」ですでに提供しているメールサービスなども融合したもので、基本的には今までMacやPCと同期して保存していたデータや設定値の多くをネットワーク上のサーバで預かりつつ、複数あるiOSデバイス間ではデータの自動同期を行うものだ。ただMobileMeサービスは「最初から作り直した」としており、サービスの内容は大きく変わる見込み。
App StoreやiBookstoreで購入したアプリやコンテンツは、すべてiCloudのサーバに記録される。iCloud導入後は、同じApple IDを登録した最大10台までのデバイスで同じアプリやコンテンツが利用可能になる。
このiCloudサービスは、iOS対応デバイスを複数持っているユーザーにはメリットが大きく、例えばiPhone 4とiPad 2を使っている人の場合、iPhone 4で購入したアプリがiPad 2にも入れられる、iPad 2で途中まで作成したKeynoteのファイルをiPhone 4で呼び出して移動中に仕上げる、といったことが簡単にできる。
このiOSデバイス内の各種データをiCloud上に預かる「iCloud Backup」では、メールの既読・未読情報はすべて同期されるほか、PagesやNumbers、Keynoteなどで作成したオフィス文書もバックアップしたうえで同期する。開発者向けに提供されるiCloud Storage APIを利用すれば、iCloudにファイルを保存するアプリも作成可能だ。
写真のデータは、「Photo Stream」機能により、iOS搭載デバイス間で同期させることができる。iPhone 4で撮影した写真をiPad 2で閲覧する、といったことが容易に行えるようになる。写真のデータは通常のiCloudのストレージエリアとは別の領域を利用し、デバイス側には最新の1000枚を同期し、iCloud側では最長30日間写真を保存する。
また、長らくうわさになっていたiTunesのクラウド化も、iCloudにより一部実現される。「iTunes on iCloud」という名のこのサービスは、iTunes Storeで過去に購入した楽曲が、同じApple IDを持つiOSデバイスにダウンロード可能になる。
なお、ユーザーがリッピングした楽曲の場合は、iTunes on iCloudは利用できない。この場合はiCloud Backupを利用してバックアップする必要がある。米国では、「iTunes Match」というサービスが提供予定で、これを利用することで、さまざまなiOSデバイスで楽曲が共有可能だ。iTunes Matchを利用すると、iTunes Store内に手持ちのCDからリッピングした楽曲と同じ曲があった場合、年額24.99ドルで、iTunesから購入したものと同じデータが手に入り、iTunesで購入した楽曲データと同じように複数のiOSデバイスで同期ができる。データはDRMフリーの256Kbps AACファイルとなる。
異例の「予告」をしたうえで、盛りだくさんの発表が行われたWWDC 2011。今回の発表を受けて、どのようなアプリが生まれるのか。そしてiOS 5が登場するとき、新しい端末は出るのか。2011年秋に向けて、大きく期待が膨らみそうだ。
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