LED照明を導入するだけでも大きな節電効果を得られるが、導入後の使い方次第でその効果はさらに大きくなる。連載最終回となる第4回では、導入後の運用で心掛けるべき点を解説する。さらに、効率の良い運用を容易にするオプションや、各メーカーによるLEDならではの取り組みを紹介する。
第1回:「消費電力量」
第2回:「コスト」
第3回:「機器選定と導入」
第3回「機器選定と導入」編の末尾で少し説明したが、照明を入れ替えるために工事を依頼するときは、可能ならば点灯/消灯できる範囲を狭く、細かくした方がよい。本当に必要な部分だけ点灯し、必要ない部分をこまめに消灯することで、電力消費量を節約できる。前回紹介したタスク・アンビエント照明にも共通する考え方だ。
ところで、「蛍光灯はあまり頻繁に点灯/消灯を繰り返してはいけない」と言われたことはないだろうか。蛍光灯は点灯/消灯を繰り返すうちに寿命が短くなる。さらに、点灯時に一瞬だけ大きな電力を消費する。先の言葉はこのような事情から出てきたものだ。つまり、蛍光灯を使いながら、本当に必要な部分だけ点灯し、必要ない部分はこまめに消灯するということは、蛍光灯の寿命と消費電力の面から見て良い効果をもたらさない可能性があるのだ。
一方、LEDは頻繁に点灯/消灯を繰り返しても寿命に影響することはない。点灯時に一瞬だけ大電力を消費するということもない。LED照明を導入したら、必要なところだけ点灯し、不要な部分はこまめに消灯するということを心掛けてほしい。
オフィスでは、フロア全体を同じように照らしていることが多いと思うが、これは効率が良いとはいえない。窓から入ってくる自然光の強さが場所によって変わるからだ。もちろん、夜になったらどの場所もほぼ同じ条件になるが、昼間は場所によって照明の強さを変えた方が良い。
例えば、同じオフィスの中でも、自然光が強く入ってくる窓際では、照明の光を弱くし、フロアの中心付近は光を強くする。窓から自然光が強く入ってくる会議室では、昼間は照明を使わないなど、場所と時間によって照明の強さを調節することで、消費電力量を下げられる。
照明の強さを調節することまで視野に入れるなら、LED照明を導入するときに調光器(図1)も導入すべきだろう。すべての照明を調光できるようにする必要はないが、窓際など、昼間なら自然の光で十分な明るさを維持できる場所に導入するとよい。
使用する場所だけ点灯し、必要ない部分は消灯する。自然光の当たり方によって、光の強さを細かく調節する。実現できればLED照明を単純に導入する以上の節電効果が得られるだろう。
しかし、実際に実行することは難しい。照明の点灯/消灯を細かく管理するために、照明のスイッチと自席の間を何度も往復するのはかなり面倒だ。さらに、誰もいないところを照明が照らしていいないかと調べて回るのは大変な手間がかかる。窓際の照明の調光も人手でやっていてはかなりの手間だ。
そこでお勧めしたいのが、各メーカーが販売しているセンサーだ。次ページでは照明の制御に利用できるセンサーを紹介する。
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