電力の卸値が急上昇、ピーク時の単価が3倍に電力供給サービス

国内で電力の卸売が可能な唯一の場所である「日本卸電力取引所」において、30分単位で取引される電力の卸値が今週に入って急上昇している。8月20日(月)の13時〜16時に供給する電力の単価が1kWhあたり平均で40円近くになり、前週の3倍の水準に達した。

» 2012年08月22日 14時20分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 お盆休みが明けた今週に入ってから、全国の電力会社の需給率が軒並み90%を超えるレベルまで上昇している。そうした需要の増加を受けて、電力の卸値も急騰した。

 電力会社をはじめとする電気事業者や大手の製造業などが会員になっている日本卸電力取引所では、30分単位の電力を会員同士が売買する「スポット取引」の価格情報を週次で掲載している。最新の情報を見ると、8月20日(月)の取引価格が一気に高くなっている(図1)。

図1 日本卸電力取引所におけるスポット取引の価格動向。出典:日本卸電力取引所

 同取引所は電力を供給する時間帯によって3種類の取引価格を平均値で公表している。このうち需要が増大する13時〜16時のピーク時間帯の価格(DA-PT)が20日(月)に40円/kWh近くまで上昇した。前週と比べて3倍の水準で、通常の企業向けの電気料金(10円〜15円程度)に対しても2倍以上の価格が付けられている。

 ピーク時間帯以外でも価格は上昇しており、日中の8時〜22時(DA-DT)で23円台、終日の平均(DA-24)でも17円台と、やはり企業向けの電気料金を上回る価格で取引されている。通常の火力発電のコストが天然ガスの場合で10円程度であることから、購入する側にとっては調達コストの大幅な増加をもたらす。

 取引の詳細は非公開だが、企業向けに電力を販売する新電力(特定規模電気事業者)が供給量の不足を補うために購入している可能性が大きい。20日(月)以降も電力の需要は増えており、当面は高い卸値で取引が進むものと予想される。来年以降も同様の状況は想定されるため、電気事業者にとっては発電設備の増強が急務と考えられる。

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