熊本県西岸のメガソーラー、東京都出資のファンドから資金調達自然エネルギー

熊本県葦北郡芦北町の海外沿いで最大出力8MWのメガソーラーの建設が始まった。総事業費はおよそ30億円にもなるが、その一部は東京都も出資しているファンドから調達する予定だ。

» 2013年02月04日 07時00分 公開
[笹田仁,スマートジャパン]

 メガソーラー建設予定地は葦北郡芦北町大字女島(めしま)。女島埋立地とも呼ぶ場所だ(図1)。海岸沿いの9万5000m2の土地に、出力が240Wの太陽光発電パネルを約3万3000枚設置する。最大出力は8MWとなる予定。発電した電力は全量九州電力に売電する。

図1 太陽光発電所の建設予定地。出典:熊本県

 この事業の特徴は、東京都の呼びかけでできた投資組合からの出資を仰ぐ点にある。東京都は2012年4月から「官民連携インフラファンド運用事業者」を募集し、スパークス・グループを事業者として認定した。スパークス・グループは認定を受けて「スパークス・官民連携グリーンエナジー投資事業有限責任組合」という投資組合を立ち上げた。この投資組合には東京都も15億円出資している。額は不明だが、芦北町も出資している。

 スパークス・官民連携グリーンエナジー投資事業有限責任組合にとって、今回の芦北町のメガソーラーへの出資は投資組合設立以来初めての出資となる。

 芦北町は事業計画から運営コンサルティングをコア・テックに委託する協定を結んでいる。コアテックはスパークス・グループと共同出資で運営会社となる「芦北メガソーラー合同会社」を設立する。スパークス・グループは合同会社におよそ10億円を出資する。コア・テックとスパークス・グループは売電収入の中から利潤を得る。

図1 メガソーラーの事業体制。芦北メガソーラーは設計と建設を日立製作所に依頼し、保守業務は白鷺電気工業に委託する。出典:熊本県

 建設開始は2013年2月。竣工は2014年12月の予定だ(図3)。年間発電量はおよそ8万MWhと見込んでいる。

図1 メガソーラーの完成予想図。出典:熊本県

 メガソーラー建設を希望する自治体にとっては、このようなファンドを利用することで、建設に必要な資金を調達できる上、ファンドに出資しておけば売電収入に応じて利益を得られる。あまりに巨額な資金をファンドに頼ってしまうと、売電収入がほとんど返済に回ってしまうが、建設計画と規模によっては、このような方法を考えても良いのではないだろうか。

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