新たに始まるMEMSの補助金、高圧一括受電も選択可能補助金

2013年度から始まるマンション向けエネルギー管理システム(MEMS)に対する補助金制度の内容が明らかになった。各住戸には国内標準規格の「ECHONET Lite」に対応したシステムが必須条件になる。マンション全体で電気料金を安くできる「高圧一括受電」のための設備も選択可能だ。

» 2013年03月11日 11時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 2013年度のエネルギー政策の中で、目玉のひとつになるのがMEMS(マンション向けエネルギー管理システム)の補助金である。経済産業省は1年間に800棟のマンションにMEMSを導入することを目指している。補助金の運営を担当する「環境共創イニシアチブ(SII)」が具体的な内容を明らかにした。

 補助金は設備費と工事費の3分の1までが支給されるが、適用を受けるために必ず設置しなくてはならない設備が決められている。マンションの共用部と専有部(住戸)のそれぞれに、計測機器のほかモニター装置、制御機器、通信装置の設置が必須条件になる(図1)。

図1 補助金の対象範囲。出典:環境共創イニシアチブ

 さらに選択項目として、マンション全体で高圧の電力を受けるサービス「高圧一括受電」が例示されていて、そのための受変電設備なども補助金の対象に含めることができる。高圧一括受電によって各住戸の電気料金を引き下げることが可能で、住民にとってはMEMSを導入する明確な動機になる。

図2 MEMSの構成例(SM:スマートメーター、M:メーター)。出典:環境共創イニシアチブ

 SIIが想定するMEMSの構成例では、共用部に設置する主装置が専有部と共用部のメーターから電力使用量などを収集して、アグリゲータの管理システムとネットワークで連携する(図2)。さらに専有部のパソコンなどからアグリゲータの管理システムに接続する形も想定している。

 専有部のシステム構成で注目すべきは、家庭内の電気機器を制御する通信プロトコルに国内標準規格の「ECHONET Lite」を指定した点だ(図3)。

 ECHONET Liteは電力会社が設置するスマートメーターでも実装する予定だが、現時点では対応している電気機器が少ない。今回MEMSの補助金で必須条件になったことにより、機器メーカーの対応も急速に進むとみられる。

図3 専有部のシステム構成(SM:スマートメーター、CT:変流器)。出典:環境共創イニシアチブ

 現在SIIはMEMSの設置・運用を一括して提供するアグリゲータを募集中で、3月15日に第1次の応募を締め切って、3月末までにアグリゲータと対象システムを発表する予定だ。この段階でアグリゲータが提供するMEMSの具体的なシステム構成や価格帯が明らかになる。補助金の申請は2014年1月下旬に受付を終了する予定だが、それ以前でも補助金の予算額130億円に達した時点で打ち切ることになっている。

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