発電システムの運用に欠かせないポイント(2):機器の選定、諸手続き太陽光発電の事業化を成功させるために(3)(3/3 ページ)

» 2013年03月22日 13時00分 公開
[中里啓/UL Japan,スマートジャパン]
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2.パワーコンディショナーの選定

 現在パワーコンディショナーが最も品薄の状態であり、国内メーカーでは増産の体制を整備している。従って製品を選定する以前に、確保することが先決の感もあるようだが、価格以外にも以下の項目を確認の上、選定することが望ましい。

  • 長寿命、信頼性があり、納入・稼働実績が豊富である
  • 国内での保守・サービス体制が充実している
  • 電力変換効率が高い(低負荷時でも損失が少ない)
  • ノイズ、高調波の発生が小さい

 PIDの観点からは、負極設置の可能な絶縁トランス内蔵型のパワーコンディショナーを推奨する太陽光発電モジュールメーカーもあり、そうしたパワーコンディショナーも市場に出ている。地絡電流を防ぐなどの安全性の向上の観点でも検討することをお勧めする。

 パワーコンディショナーは太陽光発電モジュールと同様、太陽光発電所の発電能力に大きな影響を与える部品なので、EPC業者と十分に協議して決める必要がある。

3.その他部材の選定

 その他の部材としては、ケーブル、コネクター、接続箱などがあるが、いずれも電気設備技術基準に準拠した部材を選定・使用することになる。

 使用環境や定格の合う部材を使用することはもちろんだが、交換のしやすさなどメンテナンス性も考慮した部材選定が必要である。

4.設備認定、接続検討申込み

 事業者にとっては、買取価格の確定に必要な条件を理解しておくことが重要で、設備認定と接続申し込みの2つの手続きがそれにあたる。

 設備認定とは、太陽光発電所が法令で定める要件に適合しているかを国が確認するものである。発電設備の仕様がおおむね固まった段階で、所定の用紙に必要事項を記入の上、発電設備の建設エリアを管轄する経済産業局へ申請する。適合が確認されると、申請から約1か月後には、設備認定通知書が発行される。

 設備認定とほぼ並行して、発電設備の建設エリアを管轄する電力会社に接続検討の申込みをする。こちらは通常2段階あり、用地が選定された初期段階で、電力会社に簡易な検討を依頼する事前相談が行われる。事前相談で問題のない設備に対しては、設備認定の申請とほぼ同じタイミングで、接続検討の申込みを行うことができる。

 電力会社の混雑状況にもよるが、高圧接続の場合では、申し込みから検討結果の回答まで3か月を要している。低圧接続の場合には約1か月、特別高圧接続の場合には6か月を要する場合もある。全体の工程への影響が大きいので、事業計画の段階で十分な検討が必要である。

 設備認定に関しては、いくつかの制度変更がされているので、これから申請をされる場合には気を付けておきたい。2012年12月10日から、500kW以上の申請には設置場所の土地確保状況を確認できる書類(登記簿謄本、賃貸借契約書など)が必須になった。さらに2013年1月10日からは、50kW以下の設備に関しては電子申請に変更されている。

 固定価格買取制度のもとでは、太陽光発電所は20年間のキャッシュフローがある程度確保された“優良金融資産”である。そのためにも安全面や耐久性がおろそかになることは避けたいものである。

 以上で太陽光発電システムの機器の選定と諸手続きに関して、重要なポイントを述べてきた。次回は施工、完工、維持管理について解説する 。

第4回:「発電システムの運用に欠かせないポイント(3)施工、完工、維持管理」

著者プロフィール

中里 啓(なかざと さとし)

UL Japan 営業部門 アカウントマネージャー。 総合商社で国内・海外の大型発電所のEPC、IPPプロジェクトなどを経験した後、外資系の半導体・フラットパネルディスプレイ・太陽電池の製造装置メーカーで太陽電池業界との関わりを深める。現在は太陽光発電をはじめ、エネルギー関連のサービス提供に従事。


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